研究課題/領域番号 |
23K11412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
土屋 健司 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 研究員 (70739276)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 河川 / マスバランス / メタン / メタン酸化 / 放出フラックス / 河床 / 流速 / 内部生産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では河川内部でのメタン生成プロセスを明らかにすることで,メタン外部流入量の推定,すなわち内部負荷・外部負荷の相対的重要性を推定可能にする基礎的知見を得ることを目的とする.そのため,河川内部のメタン生成プロセスに本研究では焦点を絞り,メタン生成の「場」の特定と「量」の推定のため,①河川内のどこでメタン生成が起こっているのか,②河川内部でのメタン生成量はどの程度か,③内部メタン生成は何によって制御されているのか,の3つの問いに回答する形で研究を進めていく.
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研究実績の概要 |
河川はメタン放出のホットスポットとして注目され,その排出量は湖沼・ダムの合計値に匹敵する可能性が報告されている.河川での溶存メタン濃度は,河川内の主に河床で生産される内部負荷と,地下水などを通じて流入する外部負荷で増加し,大気への放出とメタン酸化によって減少する.本年度はマスバランス法によるアプローチで河川におけるメタン負荷速度推定を試みた.具体的には支流の流入が無く,流量変化がほとんどない流程区間を調査対象とすることで,外部メタン負荷量を0と仮定して,河床からのメタン供給である内部メタン負荷速度の推定を行った.調査は茨城県を流れる農業河川の小貝川(利根川水系)で実施した.流程間におけるメタン濃度変化,水中におけるメタン酸化速度,大気へのメタン放出速度の3つを実測及び計算し,これらのパラメータから正味の内部メタン負荷速度を見積もった.流程間の流下時間は,流速を実測して計算した.全体の溶存メタン濃度は102 nMオーダーで変動した.大気へのメタン放出速度は多くの場合でメタン酸化速度を上回り,メタンの消失過程として大気への放出フラックスが卓越したことが明らかとなった.推定された小貝川の河床からの内部メタン負荷速度は,茨城県内の霞ヶ浦底泥中における正味のメタン生成量と同等の値を示した.以上のことから,富栄養湖の湖底と同レベルの内部負荷メタン生成速度を,小貝川の河床が有している可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
河床からのメタン負荷速度の実測は難しいがマスバランス法によって推定することに成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究によるマスバランス法を他の河川に敷衍することで,内部メタン負荷速度の河川間比較を実施する.また,河床におけるメタン負荷速度の実測方法の検討を行う.
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