研究課題/領域番号 |
23K11415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小林 大洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 主任研究員 (10360752)
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研究分担者 |
Barbieri Ettore 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), 主任研究員 (10816284)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | CTDセンサ / 電気伝導度計測 / 圧力 / 塩分計測 / 有限要素法数値シミュレーション / 計測セル変形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複雑な構造を持つCTDセンサの計測セルの圧力・温度変化による変形の詳細や、それに起因する電気伝導度の計測バイアスの発生メカニズムの詳細を高度な数値計算手法を用いて明らかする。これにより、CTDセンサの圧力・温度補正係数の最適値を得るだけでなく、計測セルの歪みと塩分誤差の関係を調べることで計測セルに求められる工作精度を明らかにするなど、CTDセンサの塩分計測精度を向上するための有用な情報を得ることを目指す。これにより、観測される塩分データの品質が向上することで、海洋・気候学研究全体にその恩恵がおよぶと期待される。
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研究実績の概要 |
海洋学において、塩分は水温・圧力と並び最も重要な観測要素である。現在、これら3つの観測要素を観測するために、CTDセンサが通常用いられており、CTDセンサは現代海洋学では不可欠な観測機器となっている。このとき、水温と圧力はセンサにより直接計測されるのに対し、塩分は計測された電気伝導度(と水温・圧力)から計算により間接的に求められている。電気伝導度の計測に用いられているガラスセルは海中の圧力や水温変化によって変形するため、生の計測値からその影響を取り除く必要がある。しかし、現在用いられている補正方法は、実際の電気伝導度計測セルの構造等を十分に考慮したものではなく、さらにその補正方法の背景をなす理論的な枠組みについても整備されていない。 本研究は、CTDセンサの電気伝導度計測セルの圧力・温度変化等に起因する変形を理論的に明らかにし、電気伝導度計測値の圧力・温度変化補正項の最適値を求め、最終的には海洋学における塩分の計測精度を向上させることを目標とする。 2023年度は、実際の電気伝導度セルを模した二重円筒セルモデルを用いて、圧力による変形を理論的・解析的に求め、それに伴い発生する電気伝導度計測値のズレを補正するためパラメータを求めると同時に、その理論的な背景(設定根拠)を明らかにした。モデルにより得られた補正パラメータは、これまでに得られている観測値の代表的な値をうまく説明できるだけでなく、その変動範囲を完全に説明することができた。 これらの解析結果を論文としてまとめ、国際誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルを用いた理論的・解析的な計算は順調に実施できている。 また、論文作成も順調に進み、2023年度内に国際誌へ投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
実際の電気伝導度計測セルは、理論的な解析を行った二重円筒セルモデルに比べて、より複雑な構造をもつため、圧力下ではモデル結果とは異なる変形をすると考えられる。そこで、有限要素法を用いてより精密なモデルを構築し、それを用いて圧力下におけるセルの変形を計算し、電気伝導度の計測値のズレ(必要となる補正パラメータの値)について考察する。得られた結果を学会等で発表するとともに、論文作成を進める。 また昨年度(2023年度)に投稿した論文の改訂作業を進める。
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