研究課題/領域番号 |
23K11435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
宮崎 航 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (90512278)
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研究分担者 |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50303988)
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / エクソソーム / PFOS / PFOA / PFAS / 有機フッ素化合物 / 胎盤 / 肝臓 / 環境化学物質 / 次世代影響 |
研究開始時の研究の概要 |
エクソソームなどの細胞外小胞(extracellular vesicles : EVs)は、細胞外伝達経路の一端を担い、恒常性の維持などに不可欠である。EVsは生体に不可欠である一方、様々なストレスの曝露がEVsの放出量や内包物を変化させることが報告されている。つまり、環境化学物質曝露ストレスを受けた臓器・細胞から異常なEVsが産生・放出され、他の臓器に毒性を発現する可能性が考えられる。以上から、本研究では、環境化学物質曝露による異常なEVsの産生と分泌、標的臓器・細胞(胎児等を含む)への移行性、影響をもたらすメカニズムの検証を通じ、新たな毒性発現メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、環境化学物質として近年問題となっているペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)のうち、PFOSおよびPFOAに曝露された臓器から産生された異常な細胞外小胞(EVs)が他の臓器に及ぼす影響を解明することである。2023年度は異常なEVsの産生・分泌の様式ならびに由来となる臓器・細胞の特定を行うにあたり、環境化学物質をばく露した肝臓、胎盤由来の細胞から産生されるEVsを採取し、EVsの性状について詳細を検証するとともに、EVs産生の主な経路のひとつであるEndosomal sorting complex required for transport (ESCRT)機構について、化学物質ばく露細胞内の ESCRTに関連する各遺伝子発現について解析した。 化学物質ばく露により、肝臓ならびに胎盤細胞のそれぞれから通常とは性状の異なるEVsが産生されることが確認された。特にPFOA, PFOSともESCRTに関わるMEK経路の変化していることが見出された。つまり、PFASはMEK経路における、特にリン酸化が伴う活性化に変化を及ぼすことが示唆された。また、PFASばく露によって細胞およびEVs内において、miRNAの一部が変化していることも見出している。 以上から、PFASは主にMEK経路を介する刺激により、ESCRT経路を変化させ、結果としてEVsの性状を変化させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において挙げている、主に細胞を用いたEVs解析については順調に進んでいる。特にEVsの解析において、表面抗原の検出のために必要な抗体等の購入にあたり、研究費の前不倒し請求を行っている。また、miRNA解析についても順調に進んでいる。一方、動物実験については現在、ばく露動物の作成とサンプリングを進めており、今後、詳細を解析予定である。
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今後の研究の推進方策 |
進捗に記載の通り、主に細胞を用いた解析については順調に進んでおり、異常なEVsによる各細胞への機能変化ならびにEVsの性状と産生メカニズムに関する解析についても引き続き検証を行っていく。 実験動物を用いた実験については、現在各曝露動物の作成ならびに血液などの体液採取を進めている。引き続き試料の採取を進めるとともに、EVsの抽出と機能解析、異常なEVsを産生する臓器の特定にかかるcfDNAの解析についても検証を進める。研究成果については、引き続き積極的に発表を行う。
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