研究課題/領域番号 |
23K11442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
杉原 数美 広島国際大学, 薬学部, 教授 (20271067)
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研究分担者 |
立花 研 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 准教授 (10400540)
田山 剛崇 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (80389121)
清水 良 広島国際大学, 健康科学部, 講師 (00570491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 環境中医薬品類(PPCPs) / 植物ホルモン / 植物ホルモン様作用 / 植物成長影響 / 環境中医薬品類(PPCPs) / 植物 / 内分泌かく乱 |
研究開始時の研究の概要 |
河川や湖沼水などの水環境から多数の医薬品が検出され、医薬品による環境汚染が問題となっている。本研究は、環境中医薬品が農業用水や汚泥肥料を通して農作物はじめ植物生育へ与える影響、植物ホルモン様作用を示す可能性を調べる。また、植物での吸収蓄積および代謝活性化等の解明も目的とする。 詳しくは、①植物生育への医薬品の影響調査、②植物ホルモン様作用のスクリーニング系およびレポーターアッセイ系の開発、③医薬品の物性と植物の吸収・可食部への蓄積および植物特異的代謝物等によるヒトへの健康影響予測を行う。 医薬品類は環境中や汚泥肥料より多く検出されるものからスクリーニングする。
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研究実績の概要 |
河川や湖沼水などの水環境から多数の医薬品が検出され、医薬品による環境汚染が問題となっている。本研究は、環境中医薬品が農業用水や汚泥肥料を通して農作物はじめ植物生育へ与える影響、植物ホルモン様作用を示す可能性を調べることを目的としている。また、植物での吸収蓄積および代謝活性化等も調査する予定である。詳しくは、①植物生育への医薬品の影響調査、②植物ホルモン様作用のスクリーニング系およびレポーターアッセイ系の開発、③医薬品の物性と植物の吸収・可食部への蓄積および植物特異的代謝物等によるヒトへの健康影響予測を行うことを目標としている。 2023年度は、環境中から検出されている医薬品類の①の植物の発芽成長への影響をスクリーニングした。その結果、発芽阻害は高濃度では発現する医薬品もあったが、低濃度ではほとんど認められなかった。一方、成長阻害は多くの医薬品で検出された。さらに、成長促進を示す医薬品も見出した。②植物ホルモン様作用のスクリーニング系およびレポーターアッセイ系の開発では、レポーターベクターの作成を行った。オーキシン様作用を検出するレポーターアッセイ系の構築で、ベクターが完成したら、植物細胞を用いて、トランスフェクションなどを実施する準備をしている。③医薬品の物性と植物の吸収・可食部への蓄積および植物特異的代謝物の検出は、植物細胞を用いて、医薬品類の代謝物生成を調べている。ヒトでの代謝物と同一の代謝物がみられるかを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、環境中医薬品類が農作物はじめ植物生育へ与える影響、植物ホルモン様作用を示す可能性の調査、さらに植物での吸収蓄積および代謝活性化等を調査するため、まず以下の研究を行った。 ①植物生育への医薬品の影響調査では、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に加え、種子の大きいハツカダイコン(Raphanus sativus var. sativus)およびカイワレダイコン(Raphanus sativus)を用いて、発芽、成長への医薬品類の影響を調べた。医薬品類は環境中や汚泥肥料より多く検出されるものからスクリーニングした。植物ホルモンであるオーキシンやサイトカイニンを陽性コントロールとして、医薬品類曝露時の影響をスクリーニングしたところ、発芽阻害は高濃度で示す医薬品は稀にあったが、低濃度ではほとんど認められなかった。成長阻害作用は多くの医薬品で検出され、また成長促進を示す医薬品も見出した。 ②植物ホルモン様作用のスクリーニング系およびレポーターアッセイ系の開発では、レポータープラスミドの作成を行った。オーキシン様作用を検出するレポーターアッセイ系の構築で、プラスミドが完成したら、植物細胞を用いて、トランスフェクションなどを実施する予定である。 ③医薬品の物性と植物特異的代謝物の検出は、植物細胞を用いて医薬品類曝露時の代謝物生成を調べている。 以上、研究計画にあった研究項目に関して、各研究系の枠組みの構築ができ、おおむね順調に研究が開始できていると考えている。特に、スクリーニング系で、毒性を示す医薬品が検出できた成果は今後の発展につなげることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究計画にあるように2023年度に引き続き、環境中から検出される医薬品類による植物種子の発芽成長への影響を調べる。さらに、これまでスクリーニングで発芽成長への影響の認められた医薬品類による影響メカニズムの解明を行う。特に、成長促進作用が著しいデキサメタゾンの促進作用メカニズムを調査する予定である。デキサメタゾンは、低濃度でも影響を示すので、植物ホルモン受容体を介して、成長に影響していることが予想される。そのため、植物細胞をもちいて、受容体遺伝子の変動なども調べる予定である。さらに、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)培養細胞T87を用いて、植物ホルモンで変動する遺伝子類への影響を調べる。 植物ホルモン様作用のレポーターアッセイ系は、オーキシン様作用を検出する系を作成中である。現在ARFの結合サイトAuxRE配列とその下流にluciferase(luc)遺伝子を組み込んだレポーターベクターの構築中である。次年度も継続してレポーターアッセイ系の構築を行う。令和7年度は、レポーターアッセイ系を医薬品類の植物ホルモン様作用のスクリーニングに用いることができるか、精度の調整などを行う予定である。 学会発表は行っているが、論文は作成中である。まず種子の医薬品曝露による発芽成長への影響に関しての結果で、論文を作成する予定である。
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