研究課題/領域番号 |
23K11445
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
杉山 圭一 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 部長 (80356237)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | エピジェネティック変化 / ゲノム不安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
エピジェネティックな変化はゲノムDNAがとる高次構造変化とも換言できる。この高次構造変化を検出するシステムを、既存の微生物ベースと動物細胞を用いた検出系の組み合わせより正確に検出することは、化学物質による発がんなどの疾病を抑制する上で重要である。一方で、エピジェネティックな変化は発生を含め多くの真核生物において認められる生命活動を担っていることから、本研究成果は、エピジェネティック毒性の指標に加えて、毒性と生命現象の分界点を探る上で貴重な知見を提供できる可能性があるとも推測している。
|
研究実績の概要 |
エヒジェネティック制御は,DNA一次構造に依存せず主にDNAメチル化とヒストン修飾によるクロマチン構造変化を介した発現制御機構とされ,細胞分裂を通じて娘細胞に伝達される特徴を持つ.発がん性に加え現在では精神疾患・アレルギーさらには老化現象等多くの疾病およびその原因にエヒジェネティック制御の破綻が関わることが明らかにされつつあり,DNA一次構造変化に加えエヒジェネティック制御の分子基盤となる高次構造を含むゲノム総体の変化(ゲノム不安定性)を指標とした化学物質の安全性評価は,遺伝毒性学の新たな課題とも言える.しかしながら,ゲノムの高次構造変化については,一次構造変化とは異なり現在も衆目の一致するところのバイオアッセイ系は構築されてはいない現状がある.そこで初年度となる本年度は,動物細胞を用いたエピジェネティック修飾剤検出系構築のためのプラットフォームとなる細胞株と培養条件の検討を行った.検討した結果,今回供試した細胞においては,可視化可能なエピジェネティック変化を捉えるには至らなかった.培養時間など複数の条件にて検討を行ったが,エピジェネティック変化と連動すると予測される現象変動を検出することはできず,追加での検討が必要であると判断した.対象とするエンドポイントについても文献調査も含め,再考する必要があるとも考えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
動物細胞を用いたエピジェネティック修飾剤検出系構築に至適な細胞と培養条件を探索を継続している.検討した細胞を検体とした共焦点傾向顕微鏡を用いた解析においては,現状エピジェネティック変化を検出する目標を達成できてはいない.既報の情報からも,同変化を捉えるに好適なスタンダートとなり得る細胞についての報告はないと考えられることから,本課題の達成には継続的なエフォートの投入が必要と認識している.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,動物細胞を用いたエピジェネティック修飾剤検出系構築のための細胞と培養条件の検討を継続する.検出系を構築するにあたり,その妥当性と頑健性は重要なファクターとなる.両観点を具備する細胞の選択は,本研究を進める上で基盤ともなり重要課題として取り組む必要がある.エピジェネティック制御に関して感受性を示しつつも揺らぎが少ない細胞の選択は特に留意すべき課題と考える.エンドポイントとなるバイオマーカーについては,ポジティブコントロールの濃度依存的に変動する可視化可能な現象を足掛りに,探索を継続する予定である.
|