研究課題/領域番号 |
23K11447
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中嶋 吉弘 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20419873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 排出係数 / 二次有機エアロゾル / 前駆物質 / 野焼き / バイオマス燃焼 |
研究開始時の研究の概要 |
二次有機エアロゾル(SOA)の生成に関与すると考えられている前駆物質を測定対象とし、一次排出源として農業残渣物の野焼きを想定して、前駆物質の排出係数の推計を行う。農業残渣物として野焼きによる焼却量が多い、稲わら・麦わら・大豆がら・トウモロコシがらを対象とする。これらの農業残渣物を家庭用焼却炉を用いて焼却し、排気ガス中のSOA前駆物質の濃度測定を行い、農業残渣物1 kgを焼却した際の排出係数の推計を行う。同時に燃焼に関与する大気汚染物質(CO、NOx、ホルムアルデヒドなど)の測定も実施する。また実験では含水率、燃焼効率による排出係数の変動要因の把握を行う。
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研究実績の概要 |
申請者は、農業残渣物の野焼きにより放出される二次有機エアロゾル(以下SOA)の前駆物質を対象に、排出係数の推計および前駆物質の排出に伴うSOA生成量の推計を目的とする。初年度は農業残渣物として、焼却処理が多いとされている稲わら・麦わら・大豆がら・トウモロコシがらを対象として、焼却炉内で実際に焼却処理を行い、排気ガス中のグリオキサール(Gly)およびメチルグリオキサール(MeGly)、加えてCOやNOx、ホルムアルデヒド(FA)などのガス状微量成分濃度の測定も実施し、得られた結果を基に、各微量成分の排出係数の推計を行った。加えて燃焼により排出されるCOやNOx、ホルムアルデヒドなどとの相関性を検討することで、農業残渣物の野焼きによる大気環境への影響を検討した。 FAとMeGlyの排出係数について、大豆殻が最も低い値を示し、稲わらが大豆殻の10倍以上の値を示した。Glyの排出係数について、全作物においてMeGlyやFAと比較して低かった。先行研究と比較して、本研究のFAの排出係数については概ね同様の値を示した。本研究により得られた排出係数を用いて、日本国内における年間排出量の推計を行い、PRTR法届け出排出量、日本国内における自動車による年間排出量、二次生成量との比較を行った。国内における各物質のFA排出量は、自動車に起因する排出量の10分の1程度であったが、PRTR法の届け出排出量を上回っていることがわかった。またGlyにおいては、PRTR法の届け出排出量のおおよそ300倍程度が農業残渣物の野焼きにより排出されていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は農業残渣物として、焼却処理が多いとされている稲わら・麦わら・大豆がら・トウモロコシがらを対象として、焼却による排気ガス中のGlyおよびMeGlyに加えてCOやNOx、ホルムアルデヒドなどのガス状微量成分の濃度測定、排出係数の推計および汚染物質間の相関性の検討を計画した。これらの実験計画はおおむね実行され、大気環境におけるいくつかの知見を得ることができた。現在これらの知見をまとめて論文として提出する準備を進めている。 。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究については研究計画に従い、農業残差物の含水率に対するSOA前駆物質の排出係数の依存性について検討する。農業残渣物の燃焼は、化石燃料の燃焼などとは異なり、燃焼効率や燃焼温度などが制御されていない。したがって農業残渣物の焼却では、残渣物に含まれる水分(含水率)や空気の吸気量(燃焼効率)、温度によって排出される微量成分濃度が異なることが予想される。この研究では含水率や燃焼効率などの条件を変えて排出係数の推計を行い、排出係数の各燃焼条件への依存性を解明する。
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