研究課題/領域番号 |
23K11462
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
|
研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰英 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (60273265)
|
研究分担者 |
関本 征史 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (10381732)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 河川水 / 重金属 / 潜在的人為汚染 / 微量元素 / 化学形態別分析 / ICP-MS / 固相抽出 / 環境水 / 潜在的環境汚染 / 生物影響 |
研究開始時の研究の概要 |
2000年前後からMRI造影剤のGd(ガドリニウム)化合物を起源とする環境水のGd濃度異常が報告され、現在では多くの国で確認されている。多摩川では、Gd濃度異常は徐々に増大傾向にあり、Gd以外の他のレアメタルも下水処理放流水合流後に濃度上昇する潜在的汚染が確認された。今後、新たな重金属汚染を起こす可能性があるため、潜在的汚染となり得るGdなどの希土類元素やその他レアメタルの濃度レベルを把握し、環境毒性や生態系への影響、水道水への混入を調査する必要がある。本研究では、首都圏の都市域河川水20-30について、全希土類元素及びその他レアメタルの網羅的分析を行い、潜在的汚染状況を総合的に調査する。
|
研究実績の概要 |
キレート固相抽出法を併用するICP-MS法により、首都圏の都市域河川の下流及び上流の複数の河川水を調査した。河川水試料は、荒川水系の荒川,隅田川、利根川水系の中川、及び都心部の古川, 目黒川, 神田川,呑川の計7河川において、河口から2~3 kmの下流域で採水した。下流域河川水試料を分析した結果、すべての試料でレアメタルを含む24元素が、濃度範囲0.01 ngL-1~1mg L-1、相対標準偏差概ね10% 以内で定量することができた。この定量値を多摩川下流域のデータ も含めて比較すると、Zn, Cu, Ti, Gd, Pb, In及び希土類元素は、河川水の違いによる濃度差が大きく、最大値/最小値が10倍を超えていた。荒川,神田川,呑川について同河川の上流と比較したところ、Co, Zn, Cd, Gdが、3河川ともに、5倍から数十倍高濃度であった。さらに、神田川と呑川については、Pbも数十倍高濃度であった。これらの元素は人為的影響により濃度が上昇した可能性が高く、複数の河川で類似した傾向を示すことから、都心部河川水に特有の特徴と考えられる。一方、陰イオン固相カラムと陽イオン固相カラムを用いる逐次固相抽出/ICP-MS法による陰イオン態、陽イオン態、非イオン態の化学形態別分析法に、活性炭固相を新たに導入し、親水性有機物結合態を含めた河川水中の潜在的人為汚染元素の化学形態別分析を確立を目指した。親水性有機物として、EDTA-2Naを用いて分離条件を検討した結果、アセトニトリル : HCl = 6 : 4の条件下でEDTA-2Naの添加回収率が72.3%と最も良かった。また、同条件でEDTA-Gd錯体について検討した結果、回収率は57.0%であった。十分な回収率ではないが、活性炭固相カラムを用いることで親水性有機物結合態はある程度捕集分離できることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
河川水のサンプリング場所の選定やサンプリングにやや時間がかかっていて、河川水の数が増やせなかったことや、毒性評価法の確立に時間をやや時間を要しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
首都圏河川水のサンプリングとその分析調査を継続して行い、対象河川水を増やすとともに特徴的な結果を示す河川水については分析頻度を高める。また、水生生物を用いた重金属曝露実験を行うとともに、毒性評価法の確立法を目指す。
|