研究課題/領域番号 |
23K11466
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
渡部 春奈 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (00620395)
|
研究分担者 |
大野 浩一 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 室長 (00322834)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | QSAR / ミジンコ / 慢性毒性 / 化学構造 / 作用機構 / 農薬 / 医薬品 / 構造類似性 |
研究開始時の研究の概要 |
優先的にミジンコ慢性毒性試験を行うべき物質の構造クラス・作用機構クラスを整理するため、化学物質のミジンコに対するACRを網羅的に算出して、ACRが高く(例えば>100)慢性毒性が強い物質を抽出し、定量的構造活性相関(QSAR)モデルにおける構造類似性による分類や、作用機構に基づく分類を行う。構造クラスの作用機構の推定や作用機構クラスの構造類似性の抽出など、作用機構と構造類似性の関連付けを行い、最後に慢性毒性未知の化学物質を用いて整理した構造クラス・作用機構クラスを検証する。
|
研究実績の概要 |
ミジンコに対し強い慢性毒性を示す物質を抽出するため、まず信頼性の高い生態毒性データとして、国立環境研究所の生態毒性予測システムKATEの開発に用いられた生態毒性データ(主に一般工業物質)と米国環境庁農薬プログラム部局の農薬生態毒性データ、国立医薬品食品衛生研究所のヒト用医薬品の環境毒性試験データから、最大無影響濃度(NOEC)が0.1 mg/L未満かつ急性慢性毒性比(ACR)が10以上の物質を収集した。 KATEのミジンコ慢性毒性データのうち、NOEC≦0.1 mg/LかつACR≧10となったのは57物質あり、これらの物質を含むQSARクラスは43あった。このうちクラスに含まれる全物質数に対する割合が50%以上のクラスは7つあり、一級アミン類が多いことが分かった。ただし、反応性のない一級アミン類の中には、ACRが10以上でもNOECが0.1 mg/L以下の物質数が50%未満のクラスがあることが分かった。 強慢性毒性かつ高ACRを示した殺虫剤については作用機構に基づく分類とKATEにおける構造クラス分類を行った。強慢性毒性かつ高ACRの殺虫剤が多いIRACの作用機構分類のうち、スピノシン系殺虫剤やアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤は反応性のないエステル、幼若ホルモン類似剤等は含窒素芳香族の構造クラスに分類された。なお、これらの殺虫剤はKATEでは構造判定により農薬特有の毒性作用を持つ構造部分が適用領域外と判定された。また、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤は脂肪酸生合成の律速酵素を阻害するが、同じく脂肪酸生合成の律速酵素を阻害するHMG-CoA還元酵素阻害剤を調べると、高コレステロール血症治療薬のロスバスタチンも強慢性毒性かつ高ACRを示すことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般工業物質、殺虫剤に加えて、除草剤、殺菌剤、医薬品についても強慢性毒性かつ高ACRを示す物質を選定済みであり、構造クラスの分類を進めているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
強慢性毒性(かつ高ACR)の農薬や医薬品の構造的特徴や類似性を明らかにするとともに、一級芳香族アミンなど強慢性毒性かつ高ACRの物質について、作用機構に関する情報収集を進める。 また、作用機構が明らかな農薬や医薬品から、類似する作用をターゲットとした別の物質や作用反応部位となる部分構造を持つ物質をPubChemなどの化学物質データベースから探索し、強慢性毒性を示すかどうか、必要に応じてミジンコ慢性毒性試験を行って確認する。
|