研究課題/領域番号 |
23K11474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
利谷 翔平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80725606)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 乾式メタン発酵 / ふん尿 / アンモニア / 炭化物 / バイオ炭 / メタン |
研究開始時の研究の概要 |
含水率の低い廃棄物からメタンガスを取り出す技術として乾式メタン発酵が注目されている。一方、乾式メタン発酵からメタンを安定的にかつ効率よく生産し、かつアンモニアを回収するために、本研究ではバイオマスから得られる炭化物であるバイオ炭に着目した。本研究では、乾式メタン発酵の促進とアンモニア回収に適したバイオ炭の条件を探索し、そのメカニズムとしてアンモニア吸着とバイオ炭表面での微生物活性に着目する。さらに、連続プロセスでの適用方法を研究し、乾式メタン発酵におけるバイオ炭の適用可能性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
発酵残渣炭化物を添加した豚糞尿の乾式メタン発酵において、どの炭化物添加量が有効かを評価した。豚ふん尿のみ、豚ふん尿に発酵残渣炭化物(700℃で調製した)を1%(発酵物中の固形物に対する割合)(B700-1)、5%(B700-5)および15%(B700-15)混合した4系を、55℃で高温乾式回分メタン発酵を実施した。さらに、得られたデータを解析し、メタン生成ポテンシャル、最大メタン生成速度および遅延期を評価した。メタン生成ポテンシャルは、B700-1が最大となった。また、最大メタン生成速度も同様に、B700-1が最大となった。これは、豚ふん尿のみを発酵するよりも、炭化物を1%添加したほうが、短い時間でより多くのメタンガスを得られることを意味する。残渣炭化物の添加によるメタン生成活発化の要因について、阻害物質であるアンモニアの炭化物への吸着が考えられたが、発酵後残渣の水抽出液に含まれるアンモニウム濃度はどの系でも変わらなかったことから、その他の要因がメタン生成の活発化に寄与していることが考えられた。 一方、炭化物の過剰添加は発酵阻害の要因になることが分かった。炭化物の添加率が5および15%(B700-5およびB700-15)の場合、メタン生成ポテンシャルおよび最大メタン生成速度は、豚糞のみおよびB700-1より低く、さらに遅延期が増大した。過剰添加による発酵阻害の原因について、メタン濃度の低下などは見られなかったため、炭化物へのメタン吸着ではないと考えられた。一方、メタン発酵において発生する種々の中間体(グルコース、各種有機酸)の残渣炭化物への吸着試験を行ったところ、メタンの直接の原料である酢酸の吸着が確認された。そのため、過剰添加による発酵阻害の要因の一つは、基質の残渣炭化物への吸着であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発酵残渣炭化物のメタン生成への影響を定量的に解明することができた。また、過剰添加による阻害現象が見られたので、炭化物のメタン発酵利用における条件が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた炭化物の添加条件を用いて、種々のバイオマスの炭化物を用いた乾式メタン発酵を行い、炭化物物性とメタン生成との関連から、どのような性質のバイオ炭が乾式メタン発酵の促進に有効であるかを明らかにする。
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