研究課題/領域番号 |
23K11479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
米谷 紀嗣 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80295683)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 湿式空気酸化 / 二元触媒 / 遷移金属 / ルテニウム / 触媒 / 二元系触媒 / 1,4-ジオキサン |
研究開始時の研究の概要 |
化学、染色、製紙などの産業廃水には既存技術による処理が困難な多様な有機汚染物質が含まれている。研究代表者らは過酸化水素を酸化剤に用いて汚染物質を分解する水熱酸化法に注目し、Cu/Ni二元触媒などの独自開発した触媒を併用することで分解に要する反応温度と圧力を大幅に下げることに成功した。本研究ではそこで得られた知見をさらに発展させ、高温高圧水中で空気を酸化剤に用いて汚染物質を酸化分解する「湿式空気酸化」に用いる触媒を新たに開発する。3dおよび4d遷移金属の単元素触媒および二元触媒の触媒作用を明らかにするとともに、その触媒作用機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
初年度は、まず始めに湿式空気酸化における遷移金属の触媒作用を評価するための反応器を作製した。当初計画では流通式反応器を作製する予定であったが、超高圧空気圧縮機の入手が困難であったため、反応器の構造をバッチ式に変更した。酸化剤の酸素はボンベから直接注入する方式を採用した。また、反応器材質による触媒作用を最小化するため、純チタンを反応器材質に用いた。本装置の最高使用温度は300℃、最高圧力は20 MPaとなるよう設計した。次に、多孔質チタニア担体に含侵法で各種遷移金属を担持した触媒を合成し、これを用いて難分解性汚染物質のモデル化合物である1,4-ジオキサンの分解試験を実施した。分解試験の反応条件は、1,4-ジオキサン濃度=300 ppm、反応温度=300℃、注入酸素圧力=2.0 MPaとし、分解処理後の溶液をガスクロマトグラフィーおよび全有機炭素計(TOC計)で分析し、1,4-ジオキサンの分解率とTOC除去率を算出した。 始めに単元素触媒を合成してスクリーニングを行ったところ、Ruが高い触媒作用を示すことが分かった。一方、過酸化水素を酸化剤とする水熱酸化反応に対しRu触媒を用いたところ、触媒作用は見られず、逆に分解率を低下させる作用があることが分かった。次に、Cu/Ni二元触媒を合成し、湿式空気酸化の触媒に用いた。これまでの研究で、Cu/Ni二元触媒は過酸化水素を酸化剤とする水熱酸化反応において高い触媒作用を示すことが分かっているが、湿式空気酸化では触媒作用を示さなかった。最後に、Ru/Ni、Ru/Cu、Ru/Coの各二元触媒を合成し湿式空気酸化に対する触媒作用を評価した。Ru/NiとRu/CuはいずれもRu単独より触媒作用が低下したが、Ru/Coは触媒作用が向上する傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の通り、湿式空気酸化用の反応器を新たに作製した。また、単元触媒についてスクリーニングを行い、Ruが1,4-ジオキサンの湿式空気酸化において高い触媒作用を示すことを確認した。さらに、Ruと第2遷移金属元素を組み合わせた2元系触媒の調査にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
Ruと各種遷移金属を組み合わせた二元触媒の調査について、V、Cr、Mn、Znなど残りの元素についても同様に行う必要がある。また、触媒の評価についてはXRD、SEM、TEM、XAFSなどの様々な手法を用いてあらゆる視点から行う必要がある。 また、今年度の研究でRu/Co二元触媒が有望である可能性が見られたので、次年度以降に詳細な検討を行う。さらに、XPS、SEM、TEM、XAFSなどの各種分析技術を駆使して触媒作用メカニズムの解明を目指す。
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