研究課題/領域番号 |
23K11487
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小松 俊哉 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10234874)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 混合嫌気性消化 / 下水汚泥 / 生ごみ / シナジー効果 / オゾン前処理 / メタン発酵 / 前処理 |
研究開始時の研究の概要 |
下水汚泥と生ごみの混合嫌気性消化(メタン発酵)は,相乗効果により高効率にバイオガスエネルギーを得ることができる。本研究では下水余剰汚泥の前処理あり/なしの条件で生ごみ投入負荷を変動させて連続消化実験を実施し,安定状態の消化データから相乗効果に及ぼす前処理の影響を評価することを目的とする。さらに,その効果メカニズム解明を目指すとともに,本システムを適用した場合のエネルギー生産量等をLCAの観点から評価する。
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研究実績の概要 |
難分解性である下水汚泥と,生ごみに代表される易分解性バイオマスとの混合嫌気性消化(メタン発酵)は,シナジー効果(相乗効果)により高効率にバイオガスを得ることができる。本研究では,実施設の2種類の生ごみ系バイオマス(固形分濃度が約7%の生ごみ調質液および20%の破砕生ごみ)を用い,シナジー効果の検証を目的として回分実験と連続実験を実施し,中でも難分解性の余剰汚泥のオゾン前処理の影響に着目した。 回分実験の結果,2種の生ごみ系バイオマスとも下水汚泥との混合により,単独の基質での結果から予測されるバイオガス発生量を8~10%上回り。混合によるシナジー効果が確認された。 生ごみ調質液を用いた連続実験は,下水汚泥単独の未処理系,オゾン処理系,さらに各々に生ごみ調質液を重量比で10%,20%,30%追加投入した混合系を運転した。混合系ではいずれもバイオガス発生量は効率的に増加し,10%,20%投入では生ごみ調質液の正味のバイオガス発生量は918 NmL/g-VS以上の高い値に算出された。一方,30%投入の運転では,未処理系は676 NmL/g-VSに大きく低下したのに対し,オゾン処理系は1019 NmL/g-VSと高い値を保持し,オゾン処理は高負荷運転において優位となることが明らかとなった。オゾン処理汚泥は反応速度が大きいことから,メタン発酵で律速となる基質の加水分解が未処理系よりも速く進行するため滞留時間が短縮される影響を受けにくかったと考えられた。 続いて,同様の条件で破砕生ごみを重量比で10%追加投入した連続実験を実施した。本基質を用いた場合もバイオガス発生量は効率的に増加したが,破砕生ごみの正味のバイオガス発生量は,未処理系948 NmL/g-VS,オゾン処理系958 NmL/g-VSと同等であった。次年度において追加投入量を増加させた運転を行い,投与負荷の影響を明確化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに回分実験と連続実験を実施し,混合消化によるシナジー効果,とりわけ難分解性の余剰汚泥をオゾン前処理した場合の影響を明確化したこと,また連続実験においては,バイオガス発生量以外に固形分分解率,バイオガス中のメタン含有率,溶解性COD等の消化汚泥上澄みの測定から安定状態における消化特性データを得ることができ,さらに各系列の消化汚泥の脱水試験を行い脱水性も評価できたことなどから,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
破砕生ごみの追加投入量を10%から15%,20%等に増加させた連続実験を実施し,未処理系,オゾン処理系における消化特性,消化汚泥の脱水性,シナジー効果を明らかにする。シナジー効果に関しては,連続実験各系列の保持汚泥の微生物群集構造を16S rRNA遺伝子のシーケンス解析も実施し,メカニズム解明を目指す。 さらに,連続実験で得られた消化特性結果,及びオゾン処理エネルギーや生ごみの前処理エネルギーなどの不足データに関しては実スケールにおける適切値の調査に基づき,モデル都市を設定し,本混合消化システムを適用した場合の正味のエネルギー生産量等をLCAの観点から評価する。
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