研究課題/領域番号 |
23K11491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大島 一真 九州大学, 工学研究院, 助教 (60734275)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | プラスチックリサイクル / 熱分解ガス化 / 触媒転換 / ゼオライト / 生成物予測 |
研究開始時の研究の概要 |
プラスチックの熱分解ガス化によるケミカルリサイクルの促進を目的として、熱分解ガス化の生成物予測モデルを構築し、その最適化された生成物分布の炭化水素を有価物に転換する触媒を開発する。熱分解ガス化におけるパラメーター検討から、モデル構築を通して反応条件による生成物制御を試みる。熱分解生成物を最適化することで、分離精製を伴わない触媒変換による有価物回収を達成する。ケミカルリサイクルの課題である分離精製のエネルギーに対して、触媒反応とデータサイエンスを活用することで高効率なリサイクルシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究では、廃棄プラスチックのケミカルリサイクル促進を背景として、熱分解ガス化における生成物の最適化を行い、各混合プラスチックに適した固体触媒を開発する。具体的な目的生成物には石油化学に重要なBTX(Benzene, Toluene, and Xylene)を想定し、触媒には炭化水素の転換に有効なゼオライトを採用する。初年度は、各プラスチック熱分解および触媒転換の基礎的な実験データを得ることを目的として、汎用性プラスチックであるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)および混合物の熱分解および触媒転換を実施した。いずれのプラスチックに対しても、残渣なく熱分解が進行した。また強い酸点を有するゼオライトを用いることで、長鎖炭化水素の分解だけでなく、芳香族化が十分に進行することがわかった。特にポリスチレン(PS)を用いた場合には高いBTX収率が得られた。また混合プラスチックにおいても、熱分解ガス化および触媒転換が十分に進行したことから、データ取得するに十分なシステムであることが示された。次年度以降は得られたデータをもとに、統計学的な解析を展開し、様々な混合プラスチックから生成物予測を実施する。さらに主要な汎用性プラスチックだけでなく、ポリ塩化ビニル(PVC)やアクリル樹脂(PMMA)などプラスチック原料の検討範囲を拡張し、実際の廃棄プラスチックを想定したケミカルリサイクルに近づける。さらに最終年度に向けて、スケールアップを含めた装置の最適化を実施し、回収能力や回収速度の最適化を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用性プラスチックであるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)に対する基礎的なデータを得ることができ、また各混合物のデータについても得ることが出来た。今後はこれらデータをもとに統計学的な予測を展開する予定である。概ね予定通りに進展しているものの、本系に適応可能なゼオライト触媒の候補が想定より少なく、統計学的な予測にまで発展させるにはデータが若干少ない状態になっている。触媒候補の選定を進めるものの適当な触媒が得られない場合には、触媒を固定して生成物予測を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ゼオライトによってプラスチック熱分解ガスから選択的に芳香族を得るシステムを構築できた。今後はゼオライトや原料の検討範囲を拡張して、生成物が予測できるシステムを構築する。また適応範囲を汎用性プラスチックから更に拡大し、社会的なニーズに適応したプラスチックのケミカルリサイクルを促進する予定である。
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