研究課題/領域番号 |
23K11521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小原 聡 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (80582121)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 糖蓄積型エリアンサス / サトウキビ / 営農操作 / 工業プロセス / 原料組成 / 環境負荷 / バイオマス変換 / 地力改良型農業 / グリーンケミカル生産 / 低炭素化 / 作物要件 |
研究開始時の研究の概要 |
不良環境地域で高いバイオマス生産性を発揮するイネ科の野生植物のエリアンサス(Erianthus arundinaceus)と,産業的有用性の高い糖質を蓄積するサトウキビとの属間交雑により開発された新規資源作物「糖蓄積型エリアンサス」について,原料ポテンシャルを解析し,そのバイオマス組成を基に将来的な地力改良・低炭素型のグリーンケミカル生産システムの達成に必要な要件定義を行う。持続的農業や低炭素型バイオマス変換から逆算して,求められる作物条件を解明し,品種設計へフィードバックする
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研究実績の概要 |
産業利用例の無い資源作物である糖蓄積型エリアンサス(サトウキビとエリアンサスの属間雑種)を活用した地力改良・低炭素型のグリーンケミカル生産システムを検討するために,今年度は,(1)試作品種の栽培試験データの取得,(2)産業利用例のある親株のサトウキビを原料とした場合の工業プロセスデータの取得を行った。 (1)については,サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1や,F1をサトウキビに戻し交配して作出した属間雑種BC1,BC2から4品種を選び,国際農林水産業研究センター熱帯島嶼拠点(石垣島)の協力のもと栽培試験を行った。栽培試験により,単位収量,原料組成(糖分,繊維分,水分,その他可溶性固形分),栽培管理条件(畝幅,栽植密度,施肥量,農薬投入量)のデータを取得した。このような実際の営農操作に紐づいた栽培データはこれまで公表されておらず,今後の工業プロセス研究の基盤データとして意義が大きい。また,糖蓄積型エリアンサスの原料生産における温室効果ガス排出量等の環境負荷の定量化や圃場の養分収支の算出が可能となった。 (2)については,親株のサトウキビの原料圧搾時の繊維含有率と糖分回収率の関係,糖質からのエタノール生産,繊維分の燃焼・発電など,各工業プロセスでのバイオマス変換効率データを工場規模で取得し,論文化した。これにより,産業利用例の無い糖蓄積型エリアンサスを工場規模で圧搾した際の糖分抽出率や,糖や繊維からのグリーンケミカル生産,繊維分によるエネルギー(熱・蒸気)の自給率等の推算が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,原料の組成および単位収量データ,栽培管理データ,工業プロセスでの加工データを取得でき,次年度以降のシミュレーションや解析に使用する基礎データの取得を実施計画通りに実施したことから、本研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,繊維分のバイオマス変換(熱分解,堆肥化)に関する工業データと副産物データを取得するとともに,得られた農業・工業での物質収支データに温室効果ガス排出原単位データ(LCAデータベースから取得)を乗じて,農業,工業におけるCO2排出量を算出し,石油由来製品との比較により脱炭素化効果を定量化する。また,圃場の養分収支に,副産物量(シミュレーションで定量化)の圃場還元効果を加えて,地力改良効果を評価する。
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