研究課題/領域番号 |
23K11556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中国企業 / 習近平政権 / 新時代の中国の特色ある社会主義 / 国有企業改革三年行動計画 / 成長至上主義の是正 / 混合所有制 / 国有ファンド / 出資制経済協同組合 |
研究開始時の研究の概要 |
習近平政権が掲げる「新時代の社会主義」(新時代の中国の特色ある社会主義)の内実を、企業経営の現場の水準から実証的に解明することが本課題の研究目的である。 新たに編成が進められている幾つかの特徴的な企業形態に焦点をあて(①新しい農村協同組合である「出資制経済協同組合」や②官民共同出資の「混合所有制企業」、③戦略投資と資産運用を担う機能別の「国有ファンド」など)、その理念と実態を解明することを通じてミクロの水準から中国の変容を明らかにし、「共同富裕」や「五位一体」の均衡発展(経済、政治、文化、社会、環境)とともに特徴づけられる「新時代の社会主義」の内実を究明する。
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研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、習近平政権下の中国で新たに編成が進められている幾つかの特徴的な企業形態に焦点を当て、その実態分析を通じてミクロの視点から習近平政権が掲げる「新時代の中国の特色ある社会主義」の内実を解明することを目的としている。初年度の令和5年度は本研究プロジェクトを推進するにあたって不可欠となる現地資料の収集および関連情報の収集を行った。日中間の往来は依然としてビザの制約を受ける状態が続いており、現地調査は容易ではないが、限定された都市への短期滞在を可能とする特殊なトランジット入国制度を活用することによって短期間の滞在を実現し、「出資制経済協同組合」、「混合所有制企業」、「国有ファンド」に関連する基礎的な資料の収集を進めた。あわせて現地研究者を訪ね、最新の現地情報の収集を行った。 同時に令和5年度は、習近平政権が2020年から2022年まで進めた「国有企業改革三年行動計画」の動向分析を行った。「三年行動計画」は2015年に策定された習近平政権の国有企業改革の総方針である「国有企業改革を深化させる指導意見」の最終的な起動を期した計画であるが、その実態を分析することを通じて、本研究プロジェクト開始時点での「混合所有制企業」および「国有ファンド」の編成状況を明らかにし、習近平政権下の中国で進行する成長至上主義の是正の成果と課題を確認した。分析の結果は、日本比較経営学会第 48 回全国大会における統一論題報告および学会誌『比較経営研究』第48号(特集「地政学的緊張と中国・アジアの企業経営」)に掲載した論文において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビザの制約によって日中間の往来が制限を受ける状態が続いているが、特殊なトランジット入国制度を活用することによって限定的ながらも基礎資料の収集を開始し、資料の解読を進めて3つの特徴的な企業形態についての分析を進めている。また、「三年行動計画」下の「混合所有制企業」および「国有ファンド」の編成状況についての調査を進め、研究成果の発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、本年度の短期滞在によって入手した基礎資料の解読作業を引き続き進めると同時に、より長期の渡航を実現することによって現地調査を含めた本格的な資料・情報収集を行う。次年度は「出資制経済協同組合」の実態調査を重点的に行い、同企業形態が「新時代の社会主義」において果たす役割について分析を完了させる予定である。
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