研究課題/領域番号 |
23K11574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
朴 仁哲 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (90752717)
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研究分担者 |
金 誠 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (40453245)
北島 順子 大手前短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (60249414)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 朝鮮人「満洲」移民 / 地域研究 / 東アジア / 多文化共生 / エスノグラフィー研究 / ナラティヴ・アプローチ / 語り部 / 世代 / エスノグラフィー / 帝国日本 / 戦争の記憶 / 植民地経験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、エスノグラフィーの手法を用いた朝鮮人「満洲」移民研究である。本研究は朝鮮人移民を生んだ帝国日本の戦争・植民地政策の暴力性を明らかにするのみならず、移民体験者の生活史を分析することにより、歴史に翻弄され、歴史から隠蔽されてきた朝鮮人「満洲」移民の人間存在を可視化するものである。本研究では、第1に朝鮮人「満洲」移民研究に軸足を置きつつ、帝国日本を移動した人々、主に移民体験者及び日本人の引揚者の記憶を辿りながら、戦争の記憶と植民地経験の継承について考察する。第2にフィールドワークのプロセスを踏まえ、植民地と戦争の歴史を生きた移民体験者の生活史を聞き取り、分析し、和解と共生について考察する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、キーワードを「東アジア」「多文化共生」「移民母村」「語り部」「世代」などと定めて研究を進めた。2023年8月には、大阪府の私設教科書総合研究所を訪ね、資料収集を行うほか、「満洲」移民体験者の吉岡数子さんにインタビューを行った。9月には、山梨平和ミュージアム(石橋湛山記念館)を訪ね、資料収集を行うほか、日本人の「満洲」移民体験者3名にインタビューを行った。12月には、韓国全羅北道でフィールドワークを行い、朝鮮人「満洲」移民を送り出した「移民母村」を2ヶ所訪ねた。韓国人の植民地体験者1名(92歳)にインタビューもできた。2024年2月には、長野県でフィールドワークを行い、飯田市で開催するシンポジウム「中国残留日本人「三世・四世」と名乗るということ:その意味と意義を問う」に参加した。滞在期間中、残留孤児一世1名にインタビューを行った。研究成果を所属の研究会で報告した。新世紀人文学研究会主催のシンポジウム(2023年6月3日)で、「朝鮮人『満洲』移民の戦争体験に関する一考察:移民体験者の戦争の記憶を中心に」というテーマで、研究報告を行った。社会理論・動態研究所主催の精神構造研究会(2023年8月27日)で、「東アジアの文化断流史を生きた人々の生と死についての一考:「満洲」移民体験者の語り(ナラティヴ)を手掛かりに」というテーマで報告した。また同じく社会理論・動態研究所主催の精神構造研究会(2024年3月20日)で、「日中韓におけるフィールドワークを/から考える」というテーマで報告した。その他、研究成果を一般市民向けて発信した。具体的には、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」主催の市民講座で、「越境する人と文化を通して読み解く東アジア:地域から多文化共生を考える」というテーマで9回報告した。 2023年度は、研究論文3本をまとめた(研究代表者2本、研究分担者1本)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナが収束してきたため、翌年度で行う予定の国内と海外でのフィールドワークを前倒しに実施することができた。フィールドワークに基づいて、所属の研究会で研究報告を行い、研究を深化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
朝鮮人「満洲」移民の研究は、戦争・植民地・移民をめぐる学際的な研究となる。2024年度は、次のような研究計画を立てて研究を進める。第一に、国内と海外でのフィールドワークを継続する。第二に、日本人の「満洲」移民体験者及び中国残留日本人へのインタビューを行う。朝鮮人の「満洲」移民体験者の生活史を多角的に分析するため、同時代を生きた日本人にもインタビューを行う必要がある。第三に、調査データの分析と論文執筆を行い、また所属の学会や研究会、そして市民講座などにおいて研究報告を行う。
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