研究課題/領域番号 |
23K11582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
尾崎 孝宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00315392)
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研究分担者 |
渡邊 三津子 文教大学, 国際学部, 准教授 (10423245)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 内モンゴル / 外邦図 / シリンゴル / 古地名 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は旧日本陸軍参謀本部陸地測量部が作成した外邦図のデータを主に利用し、20世紀中葉に内モンゴル中部牧畜地域で通用していた古地名の復元、リスト化、位置情報の付与、インターネット上での公開等を実施することにある。これにより、過去の現地調査データが得られた地点の現状との比較が格段に容易となり、牧畜や環境に関する通時的研究に資するとともに、主に国内政治的な理由で過去の地名に関する記憶が失われてきた内モンゴルの古地名情報を国内外に提供することが可能となる
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研究実績の概要 |
本年度はプロジェクト初年度となるため、研究対象地域であるシリンゴル盟中部の外邦図(10万分の1図)のコピーを広く収集し、手元でスキャニングおよび画像の接合を実施して、図幅のデジタルデータのコレクションを構築した。内モンゴル地域の外邦図の中にはデジタルデータが作成されているものも存在するが、それらは例外なく50万分の1以下の小縮尺図であり、10万分の1図などの大縮尺図はデータが存在しないか、仮に存在しても公開されていない状況のため、研究の第1段階をクリアしたといえる。 ただし、外邦図のデジタルデータを体系的に収集した中で、当初予想していなかった問題が発生した。シリンゴル盟中部をカバーする外邦図は旧日本陸軍の陸地調査部がオリジナルで測量した図であることはすでに知られていたが、そこに1910年代(大正期)に測量・作成された図と1930年代(昭和期)に測量・作成された図が存在することは漠然と認識されているに過ぎなかった。今回、本プロジェクトにおいて大正期の地図と昭和期の地図を比較してみたところ、以下のような差異が認められた。1)大正期の地図と昭和期の地図は測量方法や緯度経度情報の付与などにおいて差異がある。2)大正期の地図と昭和期の地図は1枚のサイズが異なり、1枚の地図がカバーする地理的範囲も異なるため、重ね合わせができない。3)そのため、図幅の名称も大正期の地図と昭和期の地図は異なっており、完全に別のシリーズの地図として扱う必要がある。4)地名情報については昭和期の地図の方が豊富であるが、昭和期の地図に記された地名情報は大正期の地図の地名情報の単なる増補とは言えないレベルの異同が存在する。 そのため、今後は昭和期の地図を優先的に分析することとした。また研究を進める中で海外にも内モンゴル地域の外邦図の研究者が存在することが判明し、当該研究者を招聘して東京で研究会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大正期の地図と昭和期の地図の差異が研究開始前には予想しなかったほど大きかったが、まずは昭和期の地図に注力して研究を進めることでジオリファレンスが進められることとなった。ただし、中国での外国人によるフィールド調査が現地の政治動向により実質的に不可能な状況が現在まで継続しており、次年度に実施予定だった地名のモンゴル語への復元作業においてはフィールド調査に頼らない手段を模索する必要があり、早急に対応が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
上記課題の解決法として、まずは日本語及び仮のモンゴル語を充てた位置情報付きの地名リストをネット公開し、これを見たネットユーザーから地名に関する情報を求めていき、モンゴル語表現の正確性を高めていく手法を想定している。そのため、次年度の早い時期にネット公開および地名情報収集のための双方向的なコミュニケーションのためのプラットフォームを構築したいと考えている。その際、扱っている題材の性質上、スパムやハッキングの対象となることも想定されるため、セキュリティ対策も十分に考慮していく予定である。
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