研究課題/領域番号 |
23K11587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
高橋 エミリー (松本エミリー) 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 講師 (70747138)
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研究分担者 |
石上 盛敏 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 熱帯医学・マラリア研究部 熱帯医学研究 室長 (20392392)
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マラリア / 腸管寄生虫症 / ラオス / 少数民族 / 地球観測衛星データ |
研究開始時の研究の概要 |
ラオス南部では民族間格差に加えて、マラリアや腸管寄生虫症等の寄生虫感染症が流行しており、貧困撲滅をより困難にしている。さらに、気候変動や森林減少が寄生虫感染症の分布に影響を及ぼす可能性から、もはやローカルな問題ではなく、グローバルな問題として捉えなおす必要がある。 そこで本研究では、現地調査および地球観測衛星で得られる情報を用いて、ラオス南部少数民族のマラリアと腸管寄生虫症の感染リスク要因を明らかにする。さらに、気候変動や森林減少が寄生虫感染症に影響を及ぼしているのかについての解析を行う。すなわち、感染症制御の観点から世界の貧困問題と気候変動適応にアプローチをする画期的な研究となる。
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研究実績の概要 |
今年度は、ラオスでの気候変動や森林減少のマラリア分布への影響を解析した。研究は順調に進捗しており、2つの研究論文が国際的査読雑誌に公開された。 一つ目の論文では、ラオスの森林伐採によるマラリアの分布の影響に関する研究である。マラリア分布データと、地球観測衛星データを用いて、構造化方程式モデリング(SEM)を実施し。その結果、マラリアは南部地域で流行しやすく、森林の割合が増えるほどマラリア罹患率が高くなることがわかった。地球温暖化が着実に進む中、森林地帯はラオスのマラリア発生率に重要な役割を果たすと予想される。これは、ラオスのマラリアが主にAnopheles dirusによって媒介される森林マラリアであるためと考えられる。ラオスのマラリア撲滅を加速させるためには、森林被覆率の高い場所(植林地など)や流行地域に隣接する低温地域で、マラリア流行地域と植生が類似している場所を特定し、予防し、介入することが重要である。 二つ目の論文では、メコン住血吸虫症罹患率への気候変動の影響を分析した。メコン川には中間宿主貝(Neotricula aperta)が生息していることから、水域に影響を及ぼす環境要因が住血吸虫症の発生に影響を及ぼすと考えられる。本研究の目的は、ラオスにおける疫学データと地球観測衛星データを用いて、降水量がヒトの罹患率に及ぼす影響を評価することである。その結果、(1)集団薬剤投与との負の関連、(2)年間総降水量との負の関連、(3)乾季の降水量との正の関連、の3つの要因がそれぞれ独立に罹患率と関連していることが明らかになった。つまり、集団薬剤投与の影響を考慮しても、年間総降水量の増加は患者数を減少させるが、乾季の降水量の増加は患者数を増加させることが示唆された。これはおそらく、総降水量が増加すると川の水位が上昇し、セルカリアの密度が低下するためであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに国際的査読雑誌に論文が公開されており、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上記に記載したこれまでの研究実績をふまえ、研究対象地域を絞り、具体的にラオス南部少数民族のマラリアと腸管寄生虫症の感染リスク要因を明らかにする。すなわち、感染症制御の観点から世界の貧困問題と気候変動適応にアプローチする。
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