研究課題/領域番号 |
23K11598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
堀拔 功二 秋田大学, 国際資源学研究科, 客員研究員 (10748213)
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研究分担者 |
近藤 重人 秋田大学, 国際資源学研究科, 客員研究員 (60941028)
稲垣 文昭 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (80468545)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 気候変動レジーム / 環境権威主義 / 資源 / 石油・天然ガス / 脱炭素 / 権威主義的資源国 / レンティア国家 / 脱炭素化 / 生存戦略 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は中東・中央アジアの資源国の権威主義体制が国際的な気候変動レジームのなかでいかに持続的であるのか、そのメカニズムを実証的に明らかにする研究である。世界的な気候変動対策により、石油や天然ガスの売却と配分を通じて権威主義体制を維持してきた「レンティア国家」の持続性に疑問が生じている。本研究では、脱炭素化による資源価値の変化に伴う政治経済的影響を受ける湾岸産油国(サウジアラビア、UAE、カタル、オマーンなど)と中央アジア諸国(ウズベキスタン、トルクメニスタンなど)に焦点を当て、地球規模の環境問題が権威主義体制の生存戦略に与える影響と、その相互連関の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
国際的な気候変動レジームが中東・中央アジアの権威主義体制の持続メカニズムに与える影響を明らかにすべく、初年度の研究として主に以下の三つの研究を行った。 ①気候変動レジームの形成と資源国の対応:気候変動問題に関する世界的な動向を整理しながら、中東・湾岸産油国における気候変動対策について、「なぜ産油ガス国が脱炭素を目指すのか?」という根本的な問題について議論した。議論を通じて湾岸産油国における脱炭素政策は、必ずしも環境保護の観点に基づくものではなく、経済成長を目指す形で進められていることが明らかになった。したがって、脱炭素政策は脱石油・ガスを意図しているものではないという指摘がなされ、本科研の議論の出発点を確認した。 ②環境権威主義の研究:本科研テーマの分析アプローチの一つとして、環境権威主義(権威主義国は民主主義国よりも環境政策の実施や対応速度が早いという仮説)に関する先行研究をレビューした。環境権威主義の分析枠組みについては中国、ベトナム、東南アジアなどの権威主義国において適用されており、湾岸産油国や中央アジア諸国でも適用可能であることが示唆された。 ③事例研究:権威主義的資源国における環境政策の事例として、リビアの気候変動リスク、および移行期ポーランドにおける森林資源管理について、外部研究者を招いて研究会を実施。前者については、権威主義国でもリビアのような脆弱国家において、自然災害への対応能力に限界があるだけでなく、ガバナンスや調整能力の欠如から支援機関との連携に課題があることが指摘された。また後者では体制移行が森林資源ガバナンスに影響を与えておらず、環境政策における経路依存性や森林資源としての性質が政治的対応に影響したことが指摘された。以上より、中東・中央アジア諸国の分析にむけた多くの示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は基礎的な文献研究を行い、研究対象や分析アプローチの検討を深めた。次年度以降に予定されている現地調査に向けた準備も進められたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究分担者・協力者とともに現地調査を実施する予定である。対象国は湾岸産油国(サウジアラビア、クウェート、UAEなど)と中央アジア諸国(カザフスタン、タジキスタンなど)を予定しているが、現地情勢の悪化など渡航が難しい場合は調査地を変更する。
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