研究課題/領域番号 |
23K11607
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
目黒 紀夫 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (90735656)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マサイ / 文化 / 文化遺産 / スポーツ / イベント化 / 表象と実践 / 遺産 / イベント / 表象 / 実践 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、アフリカの中でも世界的に有名なマサイの文化の変化を研究する。具体的には、ケニア南部のアンボセリ地域で、2つのNGOがそれぞれ別個に支援しているマサイ遺産博物館という観光客向けの施設と、マサイ・オリンピックというスポーツ・イベントについて、それぞれのプロジェクトがマサイの文化をどのように対外的に説明しているのかを調べる。そして、マサイの文化を外部者に向けてどのように説明するのかということが、具体的にどのような人や組織の間のやり取りを経て決まっていくのかを明らかにする。また、そうして外部者を意識することで、マサイの人たちの文化的な行動がどのように変化するのかも明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究がマサイ遺産博物館とマサイ・オリンピックという2つの取り組みを対象事例とする中で、主には前者の研究を集中的に行なった。具体的には、マサイ遺産博物館におけるマサイ文化の表象と実践について、観光学術学会大会と文化遺産国際協力コンソーシアムのアフリカ分科会において発表をした。この結果、マサイ遺産博物館の展示内容に即して、そこにおける文化表象の政治性やオリエンタリズムについての分析を深めることができた。また、地域・在来知と科学知の関係性を主題とする現代文化人類学会のシンポジウムにおける発表をベースとして、伝統文化や地域共同体のあり方について考察した内容を学術論文として刊行した。この中ではマサイ遺産博物館に直接に言及してはいないが、知や文化に対する「不完全性」の視点は本研究においても有用なものである。さらに、近年、世界的に若年層の間で関心や参加が拡大している孤児院ボランティア・ツーリズムについて、日本の高校生を対象とするツアーに関する情報をオンラインを中心に集め、観光商品・経験の具体的な内容と参加者による観光経験の語り口を分析した。孤児院ボランティア・ツーリズムはケニアにおいても拡大しており、マサイを対象とするものもある。マサイが「未開なアフリカ」や「貧しいアフリカ」の典型例として扱われることも多い時、孤児院ボランティア・ツーリズムをめぐる表象や実践は、「アフリカの伝統文化」の典型とされることが多いマサイ文化を考える際の参考になるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
諸般の事情で、事前に計画していたケニアでの現地調査が行えなかったから。その代わりとして、オンラインで現地住民から情報収集なども行ったが、現地の具体的な状況を実際に目にすることはできなかった。学会発表や雑誌論文などの研究実績については、当初の計画通りに積み重ねることができており遅れは特にはないと考える。情報収集や研究発表については順調であるが、情報収集の核に位置付けている現地調査を行えなかった点から、研究全体の進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
マサイ遺産博物館については情報収集および研究業績を順調に積み重ねることができているので、現地調査を行うことでさらなる進捗を図る。マサイ・オリンピックについては、現地調査に加えてオンラインでの情報収集を2024年度中に集中的に行い、その結果の整理と分析を進めていく。また、2事例の分析を進めるのと並行して「遺産化」と「イベント化」についての文献レビューを行うことで、研究全体としての分析も進めていくことを図る。
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