研究課題/領域番号 |
23K11610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
Shaw Rajib 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (30378848)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | インド / 中小零細企業 / レジリエンス / アントレプレナーシップ / 気候変動 / 女性起業家 / 産業 / 失敗への恐怖 / SMEs / Disaster Resilience / India / Business continuity / Supply chain |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、以下の三つの学術的「問い」を明らかにしようとするものである。 1. インド経済自由化を受けたインド中央政府の中小零細企業を保護する政策や州政府による中小零細 企業政策は、どのような影響を及ぼし、その成長に貢献し、そして事業運営に資することが出来たのであろうか。 2. インドの中小零細企業にとってのビジネスの可能性とは何か。 3. インドにおける中小零細企業のレジリエンスを定義する要因とは何か。
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研究実績の概要 |
本研究では、インドにおける起業エコシステムを理解すべく、当事者に対するインタビューを行い、起業家が示すレジリエンスには、どのような要因が働いているのかを探る。そして、レジリエンス要因の抽出から見えてくる、起業家が直面するさまざまな課題を分類し、具体的に政策に反映させるには、いかなる手段が効果的であるか、という点について、政策提案することを研究成果の一端としている。インフォーマルセクターとフォーマルセクターにおける女性起業家についての比較研究によって、インドの中小零細企業研究において、女性起業家たちのレジリエンス要因を顕在化させる。現地調査を軸に、起業家が置かれた現状を理解すべく、起業家が生活者として、そして、ビジネスを運営する実務家として、日常的に使用している現地語を通じて、インタビューを行った。起業家から対面インタビューを行うために、現地調査を3回にわたって実施した。本研究における対象地域であるグジャラート州において、州政府や州商工会などから、中小零細企業について聞き取りを行った。起業家支援の実態については、州内の5大学(インド経営大学アーメダバード校、インド工科大学ガンディーナガル校、EDI(Entrepreneurship Development of India)、アーメダバード大学、グジャラート大学のインキュベーションセンターを訪問し、州内における起業家を支援するエコシステムづくりに実務的に関わっている関係者から聞き取りを行った。さらには、起業家メンターを務めている実務家や支援団体、起業家全般の支援に加え特に女性起業家を支援しているInternational Centre for Entrepreneurship and Career Development、非政府組織に関わるソーシャルワーカーたちに対してもインタビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
グジャラート州における現地調査は順調に進んでいる。女性起業家に対するインタビューが本調査の要であるが、女性起業家の大半は、これまで話すことが出来なかった起業についての経験談や現状における課題について、非常に熱意をもって答えてくれた。具体的に情報を共有するために、アーメダバード市やガンディーナガル市に位置する大学・インキュベーションセンターの関係者からも積極的に協力してもらい、インキュベーションセンターの実情について率直な回答を示してもらうことができた。インタビューと並行して、女性起業家たちがビジネスをしている場所を見学することも出来、また、家族に紹介してもらうことが出来た家庭では、女性起業家たちによる、家族やコミュニティの人々と実際のやり取りを観察する参与観察が可能になった。家庭とビジネスとを両立させること、家庭から比較的近い場所、あるいは家庭内の時間とスペースをうまくやりくりしながら事業を行っている状況を目の当たりにすることが出来たことから、フード産業に従事する起業家に注目する研究視点を得ることが可能になり、研究課題の掘り下げが可能になった。 最終的には、起業家のおかれたエコシステムを理解するため、農村と都市との両義性と継続性を検討し、さらにはより大きなフレームワークである気候変動による影響が農村部における起業エコシステムにどのように影響を与えているのかを明らかにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
A.事業登録をしてビジネスをしているフォーマルセクターと事業登録なしでビジネスをしているインフォーマルセクターの女性起業家の比較:初期の聞き取り調査によって、女性起業家の中には、インフォーマルセクターでありながら安定した収益を上げている者が多いことが分かったため。家計を十分に支えることが出来る収入を得るために女性が起業したケースが多々あることに注目する必要があるため。 B.農村部および都市部においてビジネスをしている女性起業家の比較:農村と都市という地域を二分化することは不可能であり、市場や気候変動、サプライチェーンなどによって農村と都市との継続性にも注目する必要があるため。 C.フード産業およびその他の産業に従事している女性起業家の比較:特別な訓練を必要とせず、自宅において日常的に行っている調理法を用いた食品加工業、食料品販売、菓子販売、喫茶店やレストラン運営など、フードビジネスにたずさわる女性起業家の存在が顕著であった。したがって、フードビジネス従事者をグループ化することが必要であると判断した。さらには、農村部では、気候変動の影響から起業を試みる女性が増えていることにも注目した。 上記のA、B、およびCのグループをもって、8つのサブ・グループ(①正規・農村部・フード、②正規・農村部・非フード、③非正規・農村部・フード、④非正規・農村部・非フード、⑤正規・都市部・フード、⑥正規・都市部・非フード、⑦非正規・都市部・フード、⑧非正規・都市部・非フード)において25名ずつ、計100名のインタビュー結果の分析を行い、レジリエンスのパラメーターの抽出を試みる さらには、同様のグループ化による分析を、フォーマルセクターの女性起業家100人のインタビュー結果をもって実施する予定である。
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