研究課題/領域番号 |
23K11612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
齋藤 百合子 大東文化大学, 国際関係学部, 特任教授 (10409815)
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研究分担者 |
長谷部 美佳 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (30624118)
江藤 双恵 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (50376828)
新倉 久乃 和光大学, 現代人間学部, 非常勤講師・客員研究員 (80840777)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 国際移動 / 在日タイ人 / 在日ラオス人 / 在日カンボジア人 / 在日ベトナム人 / 生活史 / ポジショニング / 多文化共生 / 移住女性 / タイ / カンボジア / ベトナム / ラオス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、インドシナ地域、つまりタイをはじめ、カンボジア、ラオス、ベトナムから日本に難民や国際結婚などさまざまな経緯で移住し、20年から30年以上日本に定住している女性たちの生活史を研究する。四半世紀以上の定住経験の聞き取りと並行して、日本のジェンダー規範やフェミニズムの移民女性へのまなざし、日本の社会経済政治状況の変化が移民女性に与えた影響を考察し、欧州での移民女性コミュニティとの比較研究も行う。本研究はジェンダー視点からの移民政策及び多文化共生政策に資することを目的としている。
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研究実績の概要 |
2023年度は、在日タイ人、在日カンボジア人、在日ラオス人らの日本国内の宗教施設(上座部仏教寺院)、タイ料理店や飲食店などタイ人が経営しているビジネス、またタイ人の自助活動や日本社会との文化交流活動などの実践活動を参与観察した。またインタビューを、神奈川県、群馬県、長野県、埼玉県で行なった。さらに、30年ほど在日タイ人を支援してきた日本人を訪問し、そこで僧侶や信徒たちへのインタビューと参与観察を行った。さらに研究会を実施し、在日のタイ人、カンボジア人、ラオス人に関する知見を専門家らから共有していただく機会を得た。 齋藤は、80年代から日本に滞在するようになった東南アジア(特にタイとインドネシア)出身の女性と、東アジア(韓国、中国、台湾)出身の在日移民女性との比較研究を、在日移民女性を研究する日本人女性かつ都市出身者としてのポジショニングに留意して、滞日移住助成史の研究を進めた。また、タイ人の自助活動についても考察を深めた。 分担研究者の江藤は、東京都、千葉県、埼玉県、群馬県のタイ寺を訪問し、そのコミュニティ機能について参与観察を行った。さらに群馬県、長野県で就業するタイ女性への聞き取りを実施し、多様な就業形態を把握した。そしてタイ国東北地方ブリラム県に日本人配偶者を有するタイ女性(60代)を訪問し、ライフヒストリーの聞き取りを実施し、国境をまたぐ生存戦略について考察した。 分担研究者の新倉は、在日タイ女性の就労機会を提供してきたエスニックビジネスとその従事者に与えた影響について調査を行った。神奈川県内のタイ人集住地域へのアウトリーチと参与観察、タイ古式マッサージ店で就労するタイ女性へのアンケート調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究会を2回開催し、第1回は在日タイ人と在日ラオス人、在日カンボジア人についての知見を共有し、第2回は在日タイ人女性の高齢化と在日フィリピン女性の高齢化及び生活史に関して比較しながら検討することができた。 2023年度は、特に在日タイ人女性に関する調査研究(エスニックビジネス、自助グループ、日本におけるタイ仏教寺院と信者コミュニティ、在日タイ人支援活動を行う日本人など)を、関東近県(神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、長野県)で実施することができた。また、日本が外国人(労働者や配偶者)を受容する要因としての開発と移民との関係にも着目することができた。 当初予期していなかったことは、研究チームメンバーの変更があり、2023年度は在日インドシナ地域(ラオス、カンボジア、ベトナム)出身者の生活史に関する研究が滞ったが、2024年度には調査研究を進めることができる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後は、以下のように計画している。 24年7月に日本タイ学会研究大会において共同研究「国際移動と在日タイ人女性の生活史研究」で、齋藤、江藤、新倉、がそれぞれ研究報告を予定している。そのほか、24年8月はタイ国のチュラロンコン大学で開催されるAsian Future Conferenceにおいて、「Thai Women’s coping strategies for super-aged society in Japan 在日タイ女性の超高齢社会下における対処戦略」で、新倉、齋藤、江藤が研究報告を行う。 齋藤は、日本における移民(女性)の歴史を、80年代以降の日本と諸外国との経済格差を主因とするだけでなく、日本の60年代以降の開発の歴史との関連を明らかにする。また外国人であることと女性であることのインターセクショナリティに配慮しながら、日本の多文化共生政策を批判的に検討する。また、在日タイ人自助団体と日本社会との結びつきについてさらに検討するための調査を実施する。さらに、参与観察から行う。さらに関連する研究の深化を進めるとともに、インドシナ地域出身者(ラオス、カンボジア、ベトナム)の調査研究を進める。 研究分担者の新倉は、在日タイ女性の日本社会への統合のひとつの指標として、エスニックビジネスから日本の会社への転職行動について調査する。それにより、在日タイ社会内の情報や社会的資源の30年の変化について明らかにする。 また研究分担者の江藤は、日本人配偶者をもつ、あるいは過去に持った経験があるタイ女性の国境をまたぐ生存戦略について分析を行う。その際、日本以外の国籍者との国際結婚の経験を有するタイ女性の事例との比較を行う。また、日本国内のタイ寺のコミュニティ機能に関する参与観察、寺に集う人々のライフヒストリーの聞き取りを行い、先行研究を検証、新たな知見を加える。
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