研究課題/領域番号 |
23K11614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩崎 賢 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (50587269)
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研究分担者 |
井上 幸孝 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (20399075)
千葉 裕太 岡山大学, 文明動態学研究所, 特任助教 (50909041)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | メキシコ / アステカ / クロニカ・メヒカーナ / 先住民クロニカ / 戦争 |
研究開始時の研究の概要 |
『クロニカ・メヒカーナ』(以下『CM』)は、スペインによる征服後に生まれたメキシコ先住民、エルナンド・デ・アルバラード・テソソモクが16世紀末に編んだ歴史史料である。アステカ王国(メシーカ王国)の首都テノチティトランの王家の直系の子孫である彼は、14世紀~16世紀初頭の歴史記述を『CM』として残した。 本研究課題は、この『CM』に関して、①メシーカ拡張主義に関連する章(全112章のうち、概ね60章分)の邦訳を行う、②『CM』の記述を基に、アステカ王国の支配拡大の実態および拡張主義を支えた政治的・宗教的イデオロギーを明らかにする、という二点を目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、以下に記す通り、14回に及ぶ訳出研究会、打ち合わせ、パネルディスカッション等を実施した。 ①6/11 第1回対面研究会(於:専修大学)、②6/24 第2回対面研究会(於:東京国立博物館等)、③8/4 地図、④12/29 33章の訳出、⑤1/7 30章の訳出、⑥1/14 31章の訳出、⑦1/31 地図、⑧2/2 地図、⑨2/7 39章の訳出、⑩2/14 39章の訳出、⑪3/10 研究参加者Clementina Battcock氏とオンライン環境下で、本史料について討議及び106章の訳出、⑫3/17 1章の訳出、⑬3/20 地図、⑭3/23 公開パネルディスカッション「クロニカから古代アメリカ文明を読む」及び第3回対面研究会(於:専修大学)研究分担者の井上及びアンデス考古学者の渡部森哉氏(南山大学)を報告者として、発表・討議を行った。 研究代表者の岩崎は、『CM』における戦争の記述に見られる宗教的主題の分析を目的として17章の訳出作業を行ったが、その過程で記述の内容にいわゆる『シャーマニズム』に関連すると思われる事柄がいくつか確認された。そこで公開研究会では、1・81・105章を、記述内容が『CM』と似通っているD・ドゥランの記録の対応箇所と比較し、その共通点と差異について考察した。 研究分担者の井上は、主として研究会での翻訳作業で扱った章に関して、文中のナワトル語表現の分析を進めた。 研究分担者の千葉は、古地図の作成に関しては、「語彙集」に記載のある地名96箇所について、語源学情報、所在地、出章番号をリスト化した。内67件についてはGooglemapを基に緯度経度情報も抽出し、データテーブルとしてQGISに取り込んだ。これらの成果は、先述の公開研究会において発表した。 以上の活動によって得られた成果を糧として、次年度以降の研究活動を遂行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画として、本研究が期間内に実施する具体的な作業は、次の2点である。①『CM』の記述のうちメシーカ拡張主義に最も深く関わる箇所(全112章のうち約60章分)の邦訳を完了させること、②『CM』の記述を基に、アステカ王国の支配拡大の実態および拡張主義を支えたイデオロギーを明らかにすること。これら2つを確実に実現するためには、以下の4つの作業工程が必要と考えている。1) 2020年より継続的に実施してきた研究会(オンライン形式)を通じた邦訳作業の続行。2) 翻訳作業および史料の内容理解の精度向上のための現地調査(関連する資料収集ならびに現地の踏査)。3) 個々の構成員による『CM』の記述内容の具体的分析作業。4) 分析結果に基づいた議論・意見交換の機会(対面形式の研究会)を設けての研究成果の統合。 1)について、今年度は、拡張主義前期の2人の王(第5代王および第6代王)の治世における記述を中心に、関連する17の章の翻訳作業を行い、試訳版の一部をウェブページ(PC用)で公開開始した。(アドレス: http://www.isc.senshu-u.ac.jp/~thm0762/cronicamexicana.html)。3)について、先述の公開パネルディスカッション及び研究会を実施した。4)について、14回の訳出研究会を実施した。一方、事前調査に時間を要した結果、2)を次年度へ延期した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、1)令和5年度より時代を下り、アステカ王国拡張の晩期にあたる2人の王(第8代王および第9代王)の治世における記述を中心に、関連する13の章の翻訳作業を行う。2)現地調査地と史料内容との対応性を示すマッピング作業を続行する。3)試訳版のウェブページへの公開作業を進める(1~3は通年)。4)研究協力者をメキシコより招聘し、対面研究会を実施する(7月)。5)研究分担者・研究協力者が、現地調査(メキシコ市内とその近郊およびオアハカ地域)を実施する(8~9月)。6)研究代表者・研究分担者が所属する古代アメリカ学会で研究成果の中間報告を行う(12月)。
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