研究課題/領域番号 |
23K11636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
諸上 茂光 法政大学, 社会学部, 教授 (60422200)
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研究分担者 |
木暮 美菜 淑徳大学, 地域創生学部, 助教 (80981828)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | トポス性 / 主体 / 客体 / コンテクスト / 観光価値 / 評価モデル / ソーシャルネット / 口コミ / 文脈効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではソーシャルネット世代の旅行者による地域の価値評価過程について,2つのアプローチから解明することを試みる. (i)観光パンフレットやソーシャルメディアの情報を分析し抽出した評価項目を用いて,地域観光価値評価モデルを構築する. (ii) 旅行者は SNS 上の他の消費者の投稿を閲覧し観光地で得られる経験を予期して,旅行のコンテクストを形成することが予測される.そこで,他の消費者の消費経験が文脈効果として与える影響を(i)で構築したモデルに組み込み,モデルの精緻化を行う.
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研究実績の概要 |
初年度は観光で来訪する消費者が地域価値を評価する要因の洗い出しとモデル化を目指した.まずは,地域の価値がどのように地域住民によって編集され,観光客に提示されているのかについて,先行研究を整理した.その結果,地域資源の持つトポス性がその一つの重要な要因であることが明らかになった. トポスとは、何らかの特別な意味があると認識され周囲の空間と識別される,概念としての「場」を指す.どんな地域にも,史跡,公園,有名店舗,名勝,聖地などの地域資源が点在している.こうした地域資源は地域住民に愛され,特別な意味や価値を持つものとして様々な媒体を通して積極的に地域外の消費者に紹介されているが,しばしばそれは地域外の消費者には期待通り受け入れられておらず,十分に観光資源として観光客を誘引するには至らない. そこで,先行研究のレビューをもとに,この両者の認識のずれを,ひとつの地域資源を巡る地域の主体と地域の客体の認知するトポス性の違いから説明できるような理論モデルを構築した.さらに,いくつかの地域で行った実地調査の結果,各地域資源がそれぞれ持つトポス性を何らかのコンテクストでまとめて客体に呈示することで,客体は地域資源そのものだけでなく,地域自体に対してもトポス性を認識する可能性があることが示唆された. 今後,各地域資源のトポス性をまとめ上げるコンテクストに必要な要因をさらに探索するとともに,地域資源のトポス性と地域自体のトポス性,それぞれが観光客など地域の客体の心理に与える効果について検証を進めたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,先行研究のレビューをもとに,地域価値を評価する要因の洗い出しと理論モデルの構築を行い,また,トポス性がどのような形で客体に呈示されているのかを,実際にいくつかの地域で実地調査を行うことで分析することができた.一方で,モデルは改良が必要なため,当初予定していた心理実験によってモデルの妥当性を部分的に検証する段階にはまだ至っていない.しかしながら,得られた研究成果については,学会発表および著書の分担執筆の形で公表しており,おおむね順調に進捗していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
地域が保持する地域資源のタイプごとにいくつかの地域でインタビュー調査および実地調査を行うことで,引き続き各地域資源のトポス性をまとめ上げるコンテクストに必要な要因をさらに探索するとともに,地域資源のトポス性と地域自体のトポス性,それぞれが観光客など地域の客体の心理に与える効果について検証を進めたい.また,そこで得られた知見を取り入れて,トポスを中心とした地域価値認識のモデルの精緻化を進めたい. さらに,構築したモデルの妥当性を検証可能な心理実験について設計し,部分的に予備的な実験を実施する予定である.
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