研究課題/領域番号 |
23K11637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
藤井 秀登 明治大学, 商学部, 専任教授 (90308057)
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研究分担者 |
恩田 睦 明治大学, 商学部, 専任准教授 (50610466)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 地元有志 / ボランティア / 雨宮21号 / 博物館明治村 / ディーン・フォレスト鉄道協会 / 鉄道遺構のサイクルロード化 / トラム動態保存の博物館化 / ヘリテージ・ツ-リズム / スロー・ツーリズム / 場所における自然と文化の統一的次元 |
研究開始時の研究の概要 |
日本とイギリスの鉄道遺産や鉄道遺構が、ヘリテージ・ツーリズムとして、どのように再生されてきているのかを考察していく。特に、地方部に位置する両国の鉄道遺産や鉄道遺構を対象にする。 それらの事例が多くみられるのはイギリスである。鉄道の遺産的価値を海や山といった自然観光資源と一体化し、観光資源化している。ヘリテージ・ツーリズムにとどまらず、スロー・ツーリズムやサイクリング・ツーリズムの観光資源とも捉えられる。こうしたツーリズムは、屋内ではなく、おもに屋外で体験できる点で、ウィズ・コロナ時代には適した観光形態といえる。 イギリスの事例を参考に、鉄道遺産や遺構が地方部に多くある日本の政策に応用していく。
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研究実績の概要 |
日本と英国における鉄道遺構と保存鉄道の再生について、ヘリテージ・ツーリズムの視点から、その史的展開過程と構造を調査した。すなわち、第1に北海道丸瀬布の森林鉄道跡地の利活用状況、高知県馬路村における森林鉄道の保存・活用状況、JR糸魚川駅構内にあった旧国鉄時代の赤レンガ機関車庫の保存運動について、現地調査を実施し、学会で発表を実施した。第2に観光アトラクションとして国内各地から鉄道関連遺産などを収集し、動態保存をしている博物館明治村における保存鉄道について、テーマパークの視点から考察した。第3に英国における保存鉄道の実態について、ディーン・フォレスト鉄道協会にヒアリングを実施し、保存の具体的な方法について考察した。 第1の点については、地元有志によって丸瀬布の森林鉄道軌道跡を辿るハイクツアー構想を確認できた。また、北陸新幹線の延伸に伴って解体・撤去予定であった赤レンガ機関車庫が同様に地元有志によって一部保存されたことも調査できた。第2の点については、東京工業大学教授であった谷口吉郎と、名古屋鉄道副社長の土川元夫らの尽力で、明治時代の機関車や建造物を全国から集めて、名古屋鉄道の所管で1ヶ所に保存する計画の端緒から、具体的な鉄道遺産の収集過程を検証した。明治時代をテーマとするノスタルジアに関しても検討した。第3の点については、英国のグロースターシア西部地域にある、かつての森林鉄道を、近隣に暮らす有志が国から購入しボランティアが動態保存しているディーン・フォレスト鉄道協会を訪問し、調査した。特に、保存鉄道の運営において英国独自のチャリティ法人という非営利公益セクターに固有の制度が公益性の証明と税制優遇の点で果たす意義を考察した。 以上から明らかになったように、ヘリテージ・ツーリズムでは、鉄道遺構と保存鉄道の再生において、地元有志やボランティアが核になっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、愛知県犬山市にある博物館明治村、北海道丸瀬布など国内の調査を実施できた。英国については、コーンウォール地域にあるレドルス&チェイスウォーター鉄道トレイル、ダービシャー地域にあるクライチ国立路面電車博物館に加えて、ミッドランド地域にあるブリストル&バース・レールウェイ・パス、グロースターシア西部地域にあるディーン・フォレスト鉄道協会を現地調査できた。一部、考察が終わっていない部分がある一方で、当初の計画で予定した調査は概ね達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、津軽森林鉄道跡地を活用したトレイルやツアー、愛媛県松山市の路面電車について、さらに保存鉄道の宝庫といわれるマン島の馬車鉄道や蒸気鉄道などでのヒアリングと資料収集を予定している。あわせて、昨年度に収集した資料の解読やヒアリングで得た情報を整理し、論文や学会で発表していく。
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