研究課題/領域番号 |
23K11642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
森本 慶太 関西大学, 文学部, 准教授 (20712748)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 観光 / 戦後復興 / 観光学 / 国際機関 / マス・ツーリズム / ソーシャル・ツーリズム / 大衆化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第二次世界大戦後の国際環境における観光の位置を歴史的に考察する。第一に、1940年代後半の欧米世界において、観光振興の国際的枠組みがいかに形成されたかについて、制度史的観点から把握する。第二に、戦前から活動を展開していた、スイスをはじめとする欧米諸国の観光研究者が、戦後の国際観光振興のなかで果たした役割を明らかにする。第三に、戦後のマス・ツーリズム形成過程で国際機関による振興策が果たした役割とその歴史的意義を探究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、歴史学の手法を用いて、第二次世界大戦後の国際環境における観光の位置づけを明確にすることである。具体的には、観光がヨーロッパの戦後復興の手段の一つから、開発途上国での経済振興策として先進国を通じて支援されるようになり、さらには「平和へのパスポート」として国際的に認知されていく過程について世界史的視野から明らかにすることを目指している。 一年目となる本年度は、第二次世界大戦後の欧米諸国の観光振興に大きな役割をはたしたマーシャル・プランと、その受け皿としてのヨーロッパ経済協力機構(OEEC)に着目し、冷戦初期の西側を中心とする国際関係と、西欧諸国の協働による観光振興の枠組みの形成過程、ならびに諸組織間の関係について検討した。 具体的には、第二次世界大戦前から活動していたスイスの観光研究者を取り上げ、以下の二つの事例について研究を進めた。第一に、かれらが戦時中のスイスで設立した観光研究機関の特徴を考察し、戦後にヨーロッパで広がりを見せた観光学とのつながりを検討した。第二に、かれらが戦時中から構想していた、観光を通じての余暇普及策(ソーシャル・ツーリズム)に注目し、スイスの国内的文脈から具体化していったソーシャル・ツーリズムと、戦後の国際機関で採用されることになるソーシャル・ツーリズムとの関連性を展望した。 本年度は研究遂行の過程で海外出張を行い、スイス経済文書館とスイス連邦文書館にて資料調査を実施した。得られた成果の一部は、4度の口頭発表と1篇の論文、西洋史概説書への寄稿を通じて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記しているように、本年度は海外での史料調査を実施し、今後の研究につながる有益な史料を収集することができた。また、4度の口頭発表と1篇の論文の公表、されに西洋史概説書への寄稿として、一定の研究成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に第二次世界大戦後のヨーロッパを中心とする国際関係史と観光史に関する二次文献の収集を一定程度進めることができたため、それらの検討を通じて研究動向のさらなる把握に努め、問題設定をより明確化することを目指す。特にこれまで研究の重点をおいていたスイスに対象を留めることなく、西欧諸国の観光機関と観光専門家に対象を広げ、戦後の観光振興をめぐる組織間や人的ネットワークの全体像を把握したい。 同時に、本研究の遂行のためには、OEECや公的旅行機関国際同盟(IUOTO)など、第二次世界大戦後の国際機関に関する一次史料を継続的に調査する必要がある。そのため、2024年度もスイスやフランス等の西欧諸国での史料調査を実施する予定である。
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