研究課題/領域番号 |
23K11659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
松岡 丈平 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (80814110)
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研究分担者 |
服部 聖彦 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (00435794)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 人流計測 / 列検知 / 曲線形状 / 時間変化 / ドローン / ロボットビジョン / 列検出 / 画像認識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、待ち行列の人数を簡単に計測するためのシステムを提案する。本システムは、監視カメラや小型カメラを利用することができ、イベントでの利用も可能である。従来システムでは、ゲート設置が必要であり、一時的なイベントや小規模施設での利用が困難であったが、本システムは導入が容易で、待ち行列の形状や範囲に依存しないため、より多くの場面で計測が可能である。本システムは、サービス利用者の始点を設定することで、そこから伸びる線を検出し、列内の待ち人数を計測する。本システムは、待ち行列の形状や領域範囲の変化に対応できる独自性を持ち、機械学習を用いたクラスタリングと追跡技術によって誤加算を低減できる。
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研究実績の概要 |
2023度は,本システムに適した技術の調査と実装を行った.オブジェクト検出アルゴリズムについては,従来使用していたYolo v4を見直しYolo v8に変更した.この変更により、処理時間が短縮されただけでなく,学習の速度が向上したことで,様々な角度から撮影した人の学習が容易になった.目標追跡アルゴリズムについては,従来使用していたDeep SORTからbytetrackへ変更した.BytetrackはYolo v8に最適化された手法であるため,目標追跡精度を保ったまま,処理速度の向上を実現できた.クラスタリングアルゴリズムとしては,DBSCANからADCNに変更した.ADCNは,円形のクラスタリング領域を使用するDBSCANを拡張したもので,楕円形のクラスタリング領域を使用することで,方向性をもったデータに対してノイズにロバストであるという特徴がある.これを列検知に使用したことで,人の成す列方向には積極的にクラスタリングし,列の直行方向に並ぶ人はクラスタ外と判定しやすくなることで,よりノイズが少ない列検知を可能にしている.さらに,検出した列の近似手法を線形近似からベジェ曲線による近似に変更したことで,2023年度の目標であった直線以外の列にも対応できるようになっただけでなく,時間変化による列形状の変化も対応できるようになった. これらの変更による計測精度の評価実験のために,被験者を募って,様々な列の実験用データセットを作成した.様々な列として,直線列,曲線列,蛇行する列を作成し,それらにノイズとして通行人を加えたデータをそれぞれ角度の異なる4つのカメラで撮影して作成した.これらを用いた実験により,蛇行する列のように,列の曲率が90度を超える場合,曲線近似ができないことが分かった.2024年度はこれらの改良方法についても議論する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度の目標であった,本システムへ適した技術の調査と評価,および,非直線列への対応の実装を終えている.さらに,評価実験のためにデータセットも作成した.これを用いて,2024年度の目標であった本システム全体の評価実験を先んじて進行している.研究成果として,非直線形状への対応に関する国内発表を1件,データセット作成に関する国内発表を1件実施した. システム全体の評価実験において,ベルトパーテーション等で形成された蛇行する列については,別のアルゴリズムが必要であることが明らかになった.この解決策として,蛇行する列に対しては線ではなく,面としてとらえて処理することを考えている.このアルゴリズムに関して1件の国際学会で発表を実施した.今後は蛇行した列に対応するための実装と評価を進めていく.これらの実装と評価は,当初2024年度の予定には含まれていないが,2023年度に先んじて作業できた分の期間を用いて解決にあたるため,大幅な遅れは発生しないものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は「利用者数自動計測システム」の非直線列への対応を実現した.また,当初2024年度に予定していた,本システムの評価実験も先行して実施できた.2024年度は,まず,2023年度までに作成した非直線列へ対応した本システムの実験を完了し,原著論文としてまとめる.また,この実験で使用したデータセットおよびソースコードをオープンソースとして公開する.その後,実験を通して明らかになった問題点の一つである,蛇行した列に対して,その解決策を実装した新たなシステムを提案する.具体的には,蛇行した列に対しては,従来の列検知のような曲線近似を行わず,面で近似し,その領域内の人数を計測する.この方式は,従来の曲線近似に比べて,面内の列外の人を誤検出する割合が上昇する懸念がある.一方で,蛇行する列は,そもそもベルトパーテーションや整列指示によって形成されるため,近似した面内に列外の人が紛れ込むケースは少ないと判断し,この方針を採用することとする.ただし,列によっては,直線や曲線の列が蛇行する列が組み合わされている場合があるため,列の特性によりアルゴリズムを切り替える機構を考案する必要がある.非直線列へ対応したシステムの公開後はこのアルゴルズムの考案に注力する.蛇行する列への対応を実装したシステムは,評価実験を通して問題点を洗い出し,その解決に取り組む.その成果は,2024年度中に国際学会にて発表する.また,オープンソース化を通して,実環境への実装も視野に入れる必要があることが分かったため.新たなシステムの提案と並行して,ハードウェアの構成についての議論も進めていく.ハードウェアとしては,監視カメラのみならず,ドローンや警備用ロボットを想定する予定である.
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