研究課題/領域番号 |
23K11685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
藤井 和佐 摂南大学, 現代社会学部, 教授 (90324954)
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研究分担者 |
小内 純子 札幌学院大学, 法学部, 教授 (80202000)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 女性農業者 / ジェンダー平等 / 政治的社会化 / ネットワーク / 世代 / 農業委員・農地利用最適化推進委員 / 組織・団体活動 / 運動指向 |
研究開始時の研究の概要 |
女性活躍が推進されつつあるなか、農業委員やJA役員に占める女性割合が増加しつつある。しかし、農業委員等に就任している女性たちは、自身の問題意識に基づき、主体的かつ自律的に意思決定の場に参画できているのだろうか。そうではない場合、どうすればそれが可能となるのだろうか。 そこで本研究では、女性農業者の政治的社会化機能を担ってきたと考えられる組織・団体と、近年、登録者数を伸ばしている農業女子プロジェクトを基盤とする次世代の就農女性たちのネットワークに注目し、聞きとり調査、質問紙調査、メディア分析を駆使し、その活動のあり方・過程、メンバーの参画指向、キャリア形成等から、上記の問いについて明らかにする。
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研究実績の概要 |
質的なジェンダー平等の達成のために、組織・団体、ネットワークにおける女性農業者の政治的社会化の可能性と課題とをとらえることを目的に、社会参画指向の世代的特徴やコミュニティ形成のあり方に注目し、主に下記のような調査研究を行なった。 (1)女性団体役員等への聞きとり調査:①全国の女性農業者をつなぐネットワーク型団体の後継団体の役員・農業女子プロジェクトメンバーに対する聞きとり調査の結果、明確な政治的イッシューのあった前身団体時代とは異なり、会員が共有する価値指向を団体活動としてどのように具体化していくかが課題として浮かびあがった。②全道の女性農業者ネットワーク組織元役員及び同組織次世代の役員に、団体活動の意義等について聞きとり調査を行なった。設立期と後継期とのネットワーク組織の位置づけかたや活動指向の違いが、今後どのように会員に評価されるか追う必要がある。③女性の農業委員・農地利用最適化推進委員の協議会の事務局(農業会議)および協議会のない農業会議に、女性の委員登用方策等に関する聞きとり調査を行なった結果、協議会代表者や農業会議代表者との連携の重要性が明らかとなった。④市農業委員会事務局及び女性の農業委員・女性農業者組織役員に、活動指向等に関する聞きとり調査を行なった結果、団体活動等の経験が能力発揮の基盤となっていた。 (2)各府県農業委員会女性協議会等理事への質問紙調査の準備:①前研究課題において実施した農業委員等への質問紙調査結果を検討し、調査票案を作成した。②全国農業会議所に対して全国農業委員会女性協議会に関する聞きとりを行なうとともに、全国農業委員会女性協議会役員・元役員に、全国及び県レベルの協議会理事・三役の選任のあり方や農業委員や地域リーダーとしての活動等の聞きとり調査を実施した。その結果、政治文化をふまえたリーダーシップのあり方を調査票案に生かすこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における①女性農業者の政治的社会化機能を担ってきたと考えられる組織・団体等の態様・活動のあり方の推移について、②近年、登録者数を伸ばしている農業女子プロジェクトを基盤とする次世代の女性農業者たちのネットワークの態様・活動のあり方について明らかにするという目的に鑑み、「研究実績の概要」で記述したとおり、ほぼ研究計画を実行できた。くわえて地域範域型組織としてまちづくり協議会等の役員への聞きとり調査も実施でき、地域によって女性の参画状況が異なることがわかった。 以上をふまえれば「当初の計画以上に進展している」と言えるが、農閑期に計画していた福井県在住の全国の女性農業者をつなぐネットワーク型団体の元代表者やその後継団体の理事への聞きとり調査を、能登半島地震により次年度に延期することとなった。そのため、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
文献研究のほか、北海道などの女性農業者団体等が発行している会誌や記念誌等のメディア分析(分担者担当)を進めるとともに、質問紙調査と現地聞きとり調査について以下のように推進する。 (1)質問紙調査について:全国農業委員会女性協議会に加盟している府県が、全国農業会議所への聞きとり調査によって増えていることが明らかになった。当初は、加盟府県の女性協議会の全会員対象に質問紙調査を実施する計画であったが、予算的に難しいとわかったため各府県の女性協議会の全理事を対象とすることとした。全国農業委員会女性協議会三役及び全国農業会議所の同協議会担当職員等と意見交換しながら、回収率をあげるために農閑期に質問紙調査を実施する計画である。 (2)現地聞きとり調査について:①農業委員・農地利用最適化推進委員の女性協議会が設立されていない都府県の農業会議に、女性の農業委員等の登用や活動状況に関する聞きとり調査を進める。②能登半島地震により延期した全国の女性農業者ネットワークの先駆けとなった団体を設立した元代表者とその後継団体の理事に聞きとり調査を実施し、同ネットワークが世代交代をしているなか、価値指向・行動のあり方が設立時の代表者と現在の代表者とでどのように異なるか、また両者で引き継がれたこと、引き継がれなかったことなどを明らかにしたい。③地域の性別役割分業を反映している可能性のあるJA女性部等の地域範域型組織のメンバー、及びJA女性部とは参加者の世代が異なると考えられる農業女子プロジェクトメンバーへの聞きとり調査をさらに進め、活動指向や地域との関係性、コミュニティ形成のあり方を明らかにしていく。
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