研究課題/領域番号 |
23K11692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
土野 瑞穂 明星大学, 教育学部, 准教授 (10739048)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 紛争に関連する性暴力 / CRSV / ボスニア紛争 / ルワンダ内戦 / 慰安婦 / ジェンダー / 国際関係 / フェミニズム / 日本軍慰安婦 / ボスニア / ルワンダ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、紛争に関連する性暴力(Conflict-Related Sexual Violence:以下、CRSVと称す)を受けた女性サバイバーたちがいかにして紛争後の生活を再建しうるかを明らかにすることである。本研究が事例として注目するのは、①アジア太平洋戦争期における日本軍「慰安婦」、②ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争および③ルワンダ紛争下で生じた大規模なCRSVである。この目的を達成するために、以下の二つの調査を行う。
1)CRSVサバイバーの正義実現に関する調査 2)上記三つの事例におけるCRSVサバイバーの生活再建に関する調査
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研究実績の概要 |
2023年度は文献調査に加えて、本研究が対象とするボスニアヘルツェゴビナ、セルビア、クロアチア、およびルワンダで調査を行った。 1ボスニアヘルツェゴビナ、セルビア、クロアチアにおける旧ユーゴスラヴィア紛争に関するミュージアム調査では、それぞれの非人道的行為を正当化しており、男性兵士を英雄化する表象が目立っていた。市民の被害については、女性の被害が後景に追いやられている印象を受けた。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は当時、第二次世界大戦後の欧州で起こった最悪の紛争を呼ばれ、非常に多くのボスニアのムスリム女性たちが性的暴力を受けたにもかかわらず、紛争後も続く民族・宗教対立ゆえに、女性たちはほどんと補償を受けておらず、トラウマを抱えて生活せざるを得ない状況が続いていることが文献調査で明らかとなった。 また1993~1994年に起こったルワンダ紛争に関する文献・実地調査で明らかになったのは、主に次の4点である。1.当時の人口の20%が亡くなったジェノサイドについて、一般市民の間でそれに関する話は基本的にはタブーであること。2.ジェノサイドの停止に尽力したツチ族出身のカガメ現大統領・政府を批判する勢力は投獄されてきたが、その批判とは、紛争当時カガメ大統領が率いていたルワンダ愛国戦線(ツチ族)が犯した罪に関する言及も含まれていること。3.したがって、被害者たちの証言は統制されており、ジェノサイドの処理に対する政府の活動を高く評価する証言がみられたこと。4.ルワンダ内戦では非常に多くの女性たちが性暴力を受けたことが知られているが、それについてはミュージアム等で一切の言及がなかったことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、2023年度はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争およびルワンダ紛争下でのCRSVに関する調査について、在外研究先のオスロ大学ジェンダーリサーチセンターで行った。多くの研究者と活発な意見交換を行い有意義な研究を行うことができた。 さらに文献調査に加えて4か国での実地調査から、今後の調査に必要なネットワークを構築することができた。今年度は調査に注力し、研究発表を行うことができなかったため、次年度以降発表を積極的に行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に従い、2024年度は前年度に引き続き、次の2つの調査を行う。すなわち、①CRSVサバイバーはいかにして正義を実現し得るのかについて、様々な事例を取り上げている先行研究から調査を行う、②①日本軍「慰安婦」、②ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争および③ルワンダ紛争下での大規模なCRSVのサバイバーの生活再建に関する調査である。
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