研究課題/領域番号 |
23K11703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 伸夫 九州大学, 工学研究院, 教授 (70193208)
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研究分担者 |
米村 祐次郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (20452815)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 電子捕獲 / 固定磁場強集束加速器 / 遅い取り出し |
研究開始時の研究の概要 |
九州大学加速器・ビーム応用科学センターにおいて、固定磁場強集束(FFA)加速器により加速された80 - 125 MeV 陽子ビームおよび80 - 160 MeV 2価ヘリウム4 ビームを用い、薄膜通過後に電子捕獲過程により生成された中性水素ビームおよび1価ヘリウム4 ビームの生成率を各々測定する。また、ヘリウム4ビームについて、FFA加速器において初めて実現可能となる電子捕獲過程を利用した新たな遅いビーム取り出し法の実現に向けた開発研究を行う。
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研究実績の概要 |
九州大学加速器・ビーム応用科学センターにおいて、固定磁場強集束(FFA)加速器により加速された100 MeV 級の陽子ビームおよび2価のヘリウム4ビームに対し、薄膜を用いた電子捕獲により生成された中性水素ビームおよび1価のヘリウム4 ビームの生成率を測定する。研究の目標は次の2つである。1つ目は、80-125 MeVの 陽子ビームおよび80-160 MeV の 2価ヘリウム4 ビームについて、電子捕獲により生成された薄膜通過後の中性水素ビームおよび1価のヘリウム4 ビームの生成率を系統的に測定し原子物理学分野での新たな展開の可能性を探ることである。2つ目は、大きなアクセプタンスを有するFFA加速器で初めて実現可能となる、電子捕獲を利用した新たな遅い取り出し法の開発を行うことである。 2023年度においては、2つ目の目標である全く新しい手法を用いたFFA加速器からの遅い取り出しについて主に研究を遂行した。本研究と対となる新手法であるFFA加速器へのヘリウムビーム荷電変換入射法の開発と連動して、磁場計算に基づくビーム取り出し軌道の再計算による最適化を実施し、加速器内に設置する薄膜挿入装置の再設計を行なった。 本研究では、上記の2つの目標とも、当センターの変更申請承認を受けたのち、2024年度以降にFFA加速器からのビームを隣接する大実験室において測定することにより研究を遂行する計画である。2023年度において、変更申請の内容に修正があり、それに合わせた取り出しビーム軌道の再計算を受けて、当該センター一般ユーザーへの共用のビーム供給と両立する大実験室までのビームの輸送・分析系および大実験室における測定系の再検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、当センターとして2023年度に完遂予定であった、FFA加速器からのビームを隣接する大実験室において利用可能とする変更申請および施設整備に基づいて計画を立てていた。しかしながら、変更申請の過程において当初の設計といささか異なる変更となり、それを考慮した軌道計算や装置の再設計が必要となった。また、変更申請自身も遅れており、そのため、2023年度の進捗状況としては当初の計画よりやや遅れている。しかしながら、2024年度には変更申請が承認される予定であり、2024年度以降に十分取り戻せる遅れである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度において、加速器室と大実験室の間のビームライン接続が済み次第、陽子ビーム、ヘリウム4ビーム、各々について電子捕獲ビーム生成確率の測定を実施する。その結果をもとに、2025年度において、従来の低いエネルギー領域での理論では説明できない現象の有無を検討する。遅い取り出し法の開発研究については、実際にFFA加速器を用いた開発研究を2024年度より2年間に亘り実施するが、2024年度は問題点の洗い出しを主とし、本格的な研究は2025年度に行う予定である。 各年度において、研究成果を日本加速器学会、日本原子力学会に発表する。また最終年度においては、国際会議において成果発表を行う。
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