研究課題/領域番号 |
23K11707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
伊藤 孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10455280)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ミュオニウム欠陥 / 水素関連欠陥 / 同位体効果 / ミュオン電子二重共鳴 / ミュエスアール / 電子スピン共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
物質中にμ+粒子を打ち込むことで生成されるミュオニウム(Mu)欠陥は、孤立した水素欠陥の電子状態を高い精度で模擬すると言われている。しかし、これは真空中に置かれたMu/H原子の比較に基づいた推論であり、物質中におけるMu/H欠陥の電子状態の同一性については検証の余地がある。本研究では基盤研究C(20K12484)を通して開発したミュオン電子二重共鳴法を高度化し、固体中のMu欠陥のg値をより高精度かつ角度分解的に測定する。そして、これをH欠陥のg値と比較することで、上述のMu-Hアナロジーを高い精度で検証する。これにより、今まで曖昧な推論の上で展開されてきたMu欠陥科学を同位体効果の科学へと導く。
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研究実績の概要 |
物質中にμ+粒子を打ち込むことで生成されるミュオニウム(Mu)欠陥は、孤立した水素欠陥の電子状態を高い精度で模擬すると言われている。しかし、これは真空中に置かれたMu/H原子の比較に基づいた推論であり、物質中におけるMu/H欠陥の電子状態の同一性については検証の余地がある。本研究では基盤研究C(20K12484)を通して開発したミュオン電子二重共鳴(MEDOR)法を高度化し、固体中のMu欠陥のg値をより高精度かつ角度分解的に測定する。そして、これをH欠陥のg値と比較することで、上述のMu-Hアナロジーを高い精度で検証することを目指している。令和5年度は、高精度MEDOR実験のためのRFプローブの設計を主に行った。周波数帯を従来の装置の約7倍である400 MHz帯に引き上げることを目標に高周波部品の定数とコイルの形状を検討し、回路シミュレータ上において良好な性能が得られることを確認した。なお、一部の海外製高周波部品の調達に遅れが出ていることから、実機の製作は次年度に持ち越すこととなった。このRFプローブの設計と並行して、本研究の舞台となる遷移金属酸化物中でのミュオンの振る舞いを第一原理計算により研究し、ミュオンの顕著なゼロ点振動がその拡散に重大な影響を及ぼし得ることを明らかにした。この同位体効果についての研究をまとめた論文は、Physical Review BのEditors' Suggestionに選ばれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、本年度に高精度MEDOR実験のためのRFプローブを製作する予定だったが、このために必要な海外製高周波部品の調達に遅れが生じたことから、やむを得ずRFプローブの製作を次年度以降に持ち越すこととなったため、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
不足している高周波部品を入手し次第、今年度中に行った設計に基づいてRFプローブを製作し、高周波回路のチューニングを行う。目標とする高周波性能を達成したら、試料回転機構と遠隔制御機構についても順次開発を進めて行く。この装置を用いて、高精度MEDOR実験をJ-PARC MLF S1エリアにおいて最終年度に集中的に実施する。このプローブ開発と並行して、第一原理計算に基づく同位体効果の研究も発展的に進めて行く。今年度の成果を踏まえて計算の対象を常磁性ミュオニウム・水素欠陥の電子状態に拡げ、MEDOR実験と比較するためのデータを得る。
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