研究課題/領域番号 |
23K11711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
兵頭 俊夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (90012484)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 低速電子回折(LEED) / 低速陽電子回折(LEPD) / 回折パターン / 量子力学 / 量子ビーム干渉 / 低速電子回折 / 回折パターン形成 / 単一粒子入射条件 / 物質波 |
研究開始時の研究の概要 |
光子を2重スリットに入射したり、1個ずつの電子をバイプリズムに入射したりして干渉縞が形成されてゆく過程を記録した例は存在するが、通常の結晶からの回折パターンが形成される過程を記録した観測例はない。本研究では、低速電子回折(LEED)および低速陽電子回折(LEPD)測定の入射電子強度を極限まで下げた単一(陽)電子回折条件でパターンを測定し、粒子が自分自身との干渉でパターンを形成していることを証明する。さらにその様子を動画で可視化することにより、量子ビーム科学の教育に役立てる。
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研究実績の概要 |
低速電子回折(LEED)の実験において,電子1個1個の検出情報を記録した。電子を1個ずつ数えるために,HEX-DLD(HEX遅延線アノード検出器)を備えたLEED測定装置を用いた。試料として,Cu(001)清浄試料表面を作製し,測定チェンバーの試料ホルダーに取り付けた。LaB6フィラメントを用いた電子銃をLEED測定装置にマウントし,ウェーネルトの電圧値を調整することで,ビーム強度を100 fAのオーダーまで弱くしてLEEDパターンを観測した。この電流値では,2個の電子が試料表面に入射する時間間隔は平均1μ秒以上離れている。そのため,ある電子が入射した後次の電子が入射したときには,最初の電子はすでに試料の外に出ているか,内部で非弾性散乱をして異なるエネルギーになり,LEEDパターンを形成できなくなっている。すなわち,この条件下のLEEDパターンは,1個の電子が自分自身と干渉して生じたものであることが保証されている。LEEDパターンは,電子ビームの入射エネルギーを変えて多数観測した。データは1個1個の電子ごとに時間情報と位置情報をリストモードで記録し,各入射エネルギーに対するLEEDパターンを表示して確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施を予定していた,単結晶表面からのLEEDパターンに関して1個1個の電子ごとに時間情報と共に位置情報をリストモードで記録し,そのデータからLEEDパターンを表示するところまで順調に確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,LEED(電子)と同様のデータをLEPD(陽電子)でも得ることと,リストモードで記録した1個1個の電子/陽電子の時間情報にもとづき,それらの位置情報を時系列で動画として表示するための解析プログラムを開発していく。
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