研究課題/領域番号 |
23K11720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
稲垣 照美 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (90184712)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 人工造形物 / 自然現象 / 感性計測・解析 / 画像処理・解析 / 1/fゆらぎ / スペクトル解析 / 計測工学 / 数理工学 / 計測 / 信号処理 / 画像処理 / 数理感性工学 |
研究開始時の研究の概要 |
申請課題「ものの豊かさと心の豊かさを相互に推し測る新技術と工学応用について」では,自然(オーロラ光など)や人工造形物(絵画,曼荼羅,書,彫刻,仏教伽藍など)が有する時空間の数理情報システムを精神世界へ癒しを与え得るシステムとして捉え,研究目的欄において前述した研究目的の達成に向けて光・色彩・デザイン構造の情報処理と解析を実施する.そして,それぞれが有する数理工学的な特徴を抽出・応用しながら,成果を応用して現代の我々が直面する様々な計測・診断上の諸問題に対する解(工学応用)を探索する.
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研究実績の概要 |
報告課題の特徴は,自然現象(オーロラ光など)や人工造形物(有名絵画(名画),宗教曼荼羅,書,彫刻,立体仏教伽藍など)が有する数理情報システムを精神世界へ癒しを与え得るシステムの一環として捉えたことにある.特に,精神世界を象徴する人工造形物が有する造形デザインや色彩デザインのゆらぎ構造を数理工学的な観点から解析する研究事例は申請者の知る限り存在しない.また,自然現象と人工造形物が有するゆらぎ構造の数理工学的な類似性についても世界で初めて解明し,相互の関係性の理解を深めることにも独創性がある.さらに,これらの数理工学的な特徴を抽出しながら現代の我々が直面する様々な社会問題に対する解(社会福祉施設向け設計指針の確立)を探索しようとも意図した. 曼荼羅や仏教伽藍や書などに関する従来の研究は,宗教学的,美術学的あるいは歴史学的な観点に基づいたものが国内外に数多く存在している.しかしながら,オーロラ,美術的価値の高い古典的名画・書・彫刻,宗教曼荼羅(立体仏教伽藍含む)などに含有される色彩やデザインに付随する構造(多次元ゆらぎ構造,フラクタル構造,周波数・波長特性など)解析に関する研究は,報告者の知る限り国内外でも研究例が見当たらない.一方,様々な1/f^nゆらぎ構造の評価には,波数や周波数に対するスペクトルの減衰率であるn値が利用されている.したがって,当該研究でもスペクトルの減衰率であるn値を人の心を評価する感性評価指標の一つとして使用している. 当該研究では令和5年度4月初頭から本課題の研究目的を徐々に始動済みであり,令和5年度内には第25回日本感性工学会大会(東京都区内開催)において,「スペクトル解析による書の数理感性解析」,「スペクトル解析によるオーロラ動画像の数理感性解析」の2件を同時発表している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
報告課題では令和5年度4月初頭から本課題の研究目的を徐々に始動済みであり,令和5年度内には第25回日本感性工学会大会において,「スペクトル解析による書の数理感性解析」,「スペクトル解析によるオーロラ動画像の数理感性解析」の2件を同時発表している.前者は数世紀に亘って人々の心を癒し続けてきた宗教曼陀羅のモザイク模様,後者は極北の地を雄大かつ幻想的に彩るオーロラの光について,画像処理や数理解析を進めたものである.なお,令和6年9月には,第26回日本感性工学会大会(東京都区内開催)へも報告課題に関連する4課題程度を研究発表予定である. これによって以下要件の一部について達成可能性を担保できた.① 社会実装化:自然現象(オーロラ光)や宗教曼荼羅)の数理工学的な特徴を抽出して現代の我々が直面する様々な社会問題に対する解,たとえば「社会福祉施設向け環境・機器設計」の指針を確立できる.② 数理感性評価:人工造形物に対する数理工学的な観点から新たな解釈・評価法を提案し,従前とは異なる論点に基づいた人工造形物の解釈や理解の一助とできる.③ 計測・診断技法への技術展開:スペクトル減衰率の2次元・3次元空間分布状況から検査対象空間における特異領域(不可視領域)を検知する技法を確立できる.これは,より低侵襲な計測・診断法の開発へ向けた非破壊診断分野への応用として斬新的手法となり得る.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,本年度は3次元構造物とサウンドも数理工学解析の対象として当該研究「ものの豊かさと心の豊かさを相互に推し測る新技術と工学応用について」に組み込みながら研究を進める.すなわち,これまでの考察対象である色彩・2次元構図・動画の情報処理と数理解析に加えて,サウンド・3次元構造物に対する情報処理と数理解析へも考察対象を拡大する.なお,令和6年度9月には,第26回日本感性工学会大会において「3D造形物と多次元スペクトル解析」,「オーロラと動的スペクトル解析」,「音情報とスペクトル解析」の3件程度(あるいは4件)を同時発表予定である. これによって,以下の要件を達成可能であろう.① 社会実装化:自然現象(オーロラ光など)や人工造形物(印象派絵画,曼荼羅,書,彫刻,立体仏教伽藍など)の数理工学的な特徴を抽出して現代の我々が直面する様々な社会問題に対する解,たとえば「社会福祉施設向け環境・機器設計」の指針を確立できる.② 数理感性評価:人工造形物に対する数理工学的な観点から新たな解釈・評価法を提案し,従前とは異なる論点に基づいた人工造形物の解釈や理解の一助とできる.③ 計測・診断技法への技術展開:スペクトル減衰率の2次元・3次元空間分布状況から検査対象空間における特異領域(不可視領域)を検知する技法を確立できる.これは,より低侵襲な計測・診断法の開発へ向けた非破壊診断分野への応用として斬新的手法となり得る.
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