研究課題/領域番号 |
23K11731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
三上 浩司 東京工科大学, メディア学部, 教授 (10386782)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | VR / 視野 / 個人差 / UXデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
ヘッドマウンテッドディスプレイを用いたVRコンテンツにおいて,高い臨場感や没入感のため自己主体感を維持しつつ,微妙な演出を提供しようとすると,それらをプレイヤーが認識できるかが重要になる.広視野角なVRコンテンツにおいて,その視界特性を考慮した研究は存在するが,視野の個人差まで考慮して演出を調整する研究はない. 本研究ではゴールドマン型動的量的視野測定装置を参考に,HMD装着状態でプレイヤーの視野を計測し,プレイヤーの視野特性に合ったゲームの刺激提示を行えるようにする.これを利用することでゲームにおける見えるようで見えない演出やアンビエントな情報表示など繊細な演出を実現可能にする.
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研究実績の概要 |
本研究では,プレイヤーの視野の個人差や,日々の差異を考慮したゲームシステムの考案とその評価を目的とする.HMDを装着した状態で視野をキャリブレーションし,その結果に合わせて,ゲームの演出の発生ポイントやタイミングを制御する.これにより,個人やその日の体調に合わせた,繊細なゲーム演出が可能になり,よりプレイヤーの体験を高めることができると考える.HMD装着時の視野計測には,現実の視野計測で使用されている,ゴールドマン視野計を参考にして,VR空間内で個人ごとに測定する仕組みを開発する.ここで得られた数値をもとに,ゲームシステムを制御し,演出を発生させる場所やタイミングを考慮することで,認識できるかできないか,繊細なゲーム演出を実現する.このシステムを利用することによりさらなるユーザー体験を与えることができ,その知見は広くHMDを利用したコンテンツの基盤的な創造性に寄与すると考えられる. 2023年度は,主にキャリブレーションシステムの開発と取得したデータの分析を行った. ゴールドマン視野計を参考に,HMD装着時の視野計測装置を開発し,プレイヤーごとの視野範囲を計測し,それらをデータとして利用できるようにした.2023年度はゴールドマン視野形で用いられる刺激提示の球面と同等サイズの球面や,球面上の刺激(検出点)の提示をゲームエンジンUnity並びにVIVE Proなどの視野計測可能なHMDを利用しVR空間上に実装した.球面上の刺激提示として白色の点を利用し,プレイヤーが自ら操作し中心と刺激(検出点)を結ぶ直線状を,HMDデバイスのタッチパネルを操作し遠ざける(近づける)ことで視野を計測した.その結果,個人差と個人の日々の差の双方が確認できた.この成果は情報処理学会エンタテインメントコンピューティング2023において口頭発表している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロトタイプを用いた実験とその評価ができた一方で,実験参加者が少なくまだデータが不十分であるため,参加者数を増やしデータの信頼性を高める. また,検討課題としていた自動で移動する刺激が見えなくなる点でボタン操作を行う受動的な方法はまだ試せていない.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,プロトタイプを用いた評価実験の実験参加者数を増やし,より信頼性のある実験結果を得られるようにする.また,計測手法についても自動で移動する刺激が見えなくなる点でボタン操作を行う受動的な方法の検討や,中心点の注視状況の判定や複数の色と形状の抽出点の検討など,システムの改良を進める. また,2023年度に開発したキャリブレーションシステムを用いて得られた個人差や日々の差異をいかにゲームに反映させるかについて検討を行う.現時点では,ゲームの演出や刺激提示として,「プレイヤーに危機感や脅威を与えるための演出」のほか,「視界に入らないが,意識すれば重要な情報があることを示すアンビエントな提示」などで,本手法が利用できるのではないかと考えている.ゲームをはじめ様々なコンテンツを分析しながら,表現やアルゴリズムの検討を行う. 評価実験に際し,調整の結果より正確な視野限界が検出できたかどうかに加えて,プレイヤーの体験の向上ができたかどうかが重要になる.そのため,関連学会や展示会などで情報収集の上,主観評価(印象評価)に加え,HMDや生体情報(EEG,心拍系など)を取得できる装置を購入し,有用なデータが取得可能かどうか検討を行う.
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