研究課題/領域番号 |
23K11737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
海老澤 瑞枝 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部マテリアル技術グループ, 上席研究員 (00510893)
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研究分担者 |
磯田 和貴 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部マテリアル技術グループ, 主任研究員 (80633031)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 質感 / 表面性状 / 光学特性 / 光沢 |
研究開始時の研究の概要 |
工業製品に付加価値を与えるコンセプトとして広く認識されている”高級感”においては,色彩に加えて特に「つや,光沢感」「高輝感(きらきら)」の質感の定量化が強く求められている.質感の一般的な評価方法として被験者が対象物を実際に見る官能試験があるが,近年では「対象物-カメラ/ディスプレイ-観察者」と2次元画像情報を介して対象物を見る機会が増加している.本研究では,物理的な原理および考察に基づいて[対象の表面構造・光学特性]と[エリアセンサで得られる2次元情報]と[質感]の三者の関係性を明らかにし,新たな質感評価方法の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
1年目は光沢感と表面の物理的特性の関係を明らかにするために,表面での散乱光の空間分布を取得し,粗さと紐づく光学的なパラメータを調べた.偏光カメラを検出器用い,人の視覚感度の最大波長に近い530nmの半導体レーザを光源として,入射・検出角を独立に変える散乱光の計測系を構築した.測定の幾何学的条件,入射偏光状態,散乱光の光学特性(強度,位相差,直線偏光度など),画像特性(コントラスト,対称性,RMS値など)と粗さパラメータ(Ra,Rz,Rc,Rsm)について,統計的な手法で相関の大きな組み合せを探索した. Rz0.4~6.3の鏡面から微鏡面のペーパー仕上げの金属面においては,直線偏光度画像および位相差画像のRMS値と算術平均粗さRzの間で強い相関(相関係数の絶対値で0.9)があることを見出した.また,今回着目した評価パラメータでは,光源波長以下の粗さにおいて感度が高いことが示されている.サブμm以下の粗さは,人の目で反射像が確認でき高光沢と感じられ,かつ産業的には加工コストの変化が大きい粗さの領域であるため,産業上有用な計測とするためには,今回見出だした評価パラメータの有効範囲を明確する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた質感評価のための測定系を構築し,金属材料に限定してはいるが,光沢・つやといった質感の支配的な表面物性である粗さと相関のある画像情報(評価パラメータの候補)見出すことができ,概ね計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
1年目で見出した粗さの評価パラメータについて,さらに粗さが小さい高精度仕上げ面や金属以外の樹脂材料などの測定を行い,光沢と粗さに着目した評価方法の有効範囲を調べる.また,2年目は申請時の予定通り高輝感に着目して波長オーダの周期構造をもつ表面の評価を行う.1年目の段階で,表面構造が規則的となる機械仕上げによる表面では回折による角度分散が生じるため単一波長かつ入射・検出角固定の条件では散乱光情報を取得するのが難しいことが分かっている.そのため,検出角を走査する,分光特性を取得するなどの方法で表面の物理的特性と関連する散乱光分布の情報を得る.最終年度ではこれらの物理特特性と紐づく評価パラメータと質感を表す言語情報との比較を行い,質感の評価方法の確立を目指す.
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