研究課題/領域番号 |
23K11745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
長野 和雄 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90322297)
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研究分担者 |
垣鍔 直 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任教授 (30259874)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 椅子 / 敷寝具 / 表面湿度 / むれ / 寝具 / ムレ / ムレ感 / 湿度知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は椅子や寝具でのムレを予測するモデルの実用化を目的としている。 これまで、椅子座面に接触する大腿後の皮膚表面湿度を約23hPa以下に保つことでムレがなく快適であることが明らかになっている。本研究では接触面湿度の高さに応じて感じるムレ感の程度を数量的に捉えることを目指す。そのために必要な湿度知覚メカニズム解明のための生理・心理反応測定実験、座面や敷寝具の水分移動性能を特定する実験を実施し、物理性能と生理・心理反応の対応関係を検証する。これにより予測モデルが確立されれば、デザイナーやメーカーが経験や勘に頼らずにムレにくい椅子や敷寝具を設計するためのツールになりうると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、我々が開発を試みてきた椅子座面用ムレ性能評価モデルを改良すること、その上で就寝環境にも適用範囲を拡大することである。 これまで、複数素材により構成される椅子座面全体の吸放湿性を評価するために、椅子座面に湿度センサを貼付し、スプレイヤにより座面にミスト水を噴霧した後に模擬衣服および約1kgまたは50kgの荷重材を載せて湿度挙動を計測してきた。しかしその過程において主に2つの課題があった。1つは、室内気流をどんなに静穏に保っていても、噴霧した瞬間からミスト水が移流・拡散してしまい表面への加湿量を一定に保ちにくいことである。そのためW450 mm, D350 mm, H500 mmで天・底面を取り除いた角筒状の防風スクリーンを座面に置いて天面側から下向きにスプレイヤで加湿した。もう1つは、センサの感湿部に直接水がかかると正しく計測できないことである。そのため予め感湿部にポリエチレン製の防水カバーを取り付けておき、噴霧後にカバーに繋がれた紐を引くことでセンサから取り外す対策を取った。これらにより計測結果の再現性を高めることができた。しかしながら、水噴霧直後に表面湿度の変化が大きく、その間の挙動を捉えるには、水噴霧から荷重積載までの時間をできるだけ短くかつ一定に保つ必要がある。これまでこの時間を10秒で行ってきたが、その間に防水カバーおよび防風スクリーンの撤去、模擬衣服と荷重材の積載を行わなければならず、実験者の熟練を要しても時間どおりに行えないことがたびたびあった。 初年度はこの課題を克服するため測定手法を見直し、湿度センサに防水カバーではなく40mm厚のウレタンフォームを貼付したまま実験を行うこととした。これにより防水カバーを取り除く作業が不要となり、測定誤差・再現性が改善されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は湿度知覚のメカニズムを解明するための、生理・心理反応測定実験を行うことをもう一つの柱としている。この実験では、実験環境の湿度条件の差異によって生じる水蒸気圧差を精緻に制御する必要がある。その水蒸気圧差を把握するために微差圧計にによる計測が欠かせないが、世界的な半導体不足の影響により、微差圧計の手配が遅れた。そのため、初年度に予定していた密閉ボックスの製作が間に合わなかった。 しかし、椅子座面用ムレ性能評価試験の改良に関しては、当初の予定通り進められており、全体としての遅れは軽微にとどめられている。
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今後の研究の推進方策 |
異なる荷重条件における湿度計測実験に関しては、測定方法の見直しにより実験者の作業性が改善したので、2年目の令和6年度に予定通り本実験を実施できる見込みである。 生理・心理測定実験に関しては、初年度末までに微差圧計の手配の目処がたったことから、R6年度中に、微差圧計の値を確認しながらより本実験に近いかたちで予備試験を行う予定である。
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