研究課題/領域番号 |
23K11754
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
李 元貞 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50388906)
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研究分担者 |
望月 宏祐 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (30760326)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 漆 / 棗 / 視線追跡 / 視覚的質感 / 光反射 / 質感 / 3DCG / 視覚 |
研究開始時の研究の概要 |
「棗」を対象に物体表面の反射光を計測し、「定量的な反射特性」と「ヒトが感じる視覚的質感」の対応を定量化する手法を開発する。漆と比較するため合成樹脂塗料合い」「高級な質感」などの主観的な表現を物理的な情報に対応させ視覚的質感の定量化を行う。視線追跡装置カメラを用い、漆工芸専門家はどこをどのように見ているのか、実風景上の凝視位置を追尾する。また、棗を計測対象とし、一部を円筒形状と仮定して画像情報のみから試料の光反射特性を推定し、漆の光反射特性を表現するために必要な光反射モデルのパラメータとして定量化し、質感値をそれぞれの要素ごとに3DCG再現するシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
「漆」を対象に物体表面の反射光を計測し、物理計測アプローチ「定量的な反射特性(反射光分布計測データ)」と感性評価アプローチ「人間が感じる視覚的質感」の対応を定量化する手法を開発することを目的としている。研究2年目では、塗りたて工程とロイロ仕上げ工程による一般的に茶道具として使われている「棗」と「平棗」試料を用意した。物体表面の反射光(光沢計と分光測色計)を計測し、仕上げ工程と大きさの異なる棗試料の「定量的な反射特性」と「ヒトが感じる視覚的質感」の対応を定量化するため、予備調査、予備実験を行った。「黒み感」、「つや感」、「深み感」、「あたたかみ感」、「むっくり感」、「好き」などの形容詞による主観的な表現を物理的な情報に対応させ視覚的質感の定量化を行うための実験として、視線追跡装置カメラ(アイトラッキング)と被験者が試料を手に取っている間の試料の動き(速度、傾きなど)をジャイロセンサーにより計測を行い、漆工芸専門家を含む被験者らはどこをどのように見て「棗」を評価しているのか、実風景上の凝視位置を追尾する被験者実験により試みた。 また、棗を計測対象とし、一部を円筒形状と仮定して画像情報のみから試料の光反射特性を推定し、漆の光反射特性を表現するために必要な光反射モデルのパラメータとして定量化を試みた。また、CG映像を通して、人が感じる質感が適切に定量化されているかどうかを視覚的評価実験により確認するための予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
棗試料の作成と選定、アイトラッキング、ジャイロセンサーによる予備実験に試行錯誤が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
1.試料選定:物体の陰影や光沢の空間分布(物体表面での広がり)は、物体の形状にも依存するため、様々な条件の塗膜と形状を持った試料を作成した試料(黒漆塗りの棗)を参考に、その表面に黒漆をはじめ種類の異なる塗膜面を作成する。2.棗の光学特性分析:光沢計(Rhopoint IQ-s)と分光測色計を用いて平板状の試料の定点的な反射特性の検証を行う。②試作中の画像計測ベースの光反射計測系で、椀状、自由形状曲面の試料の光反射特性とともに、物体表面の色変化、陰影、光沢の空間分布(分布形状)の角度依存性を調べる。3.棗の光反射モデル構築と光反射計測系の試料:分析した漆器の光学特性に基づいて、漆器の光反射のプロセスを光反射モデルで記述する。光反射モデルは、表面材質そのものの反射特性と表面状態(粗さ、微細構造、層構造など)に基づいて視点、光源、面法線の幾何的関係から数学モデルとして記述する(本申請で計上したアイトラッキングを使用)。4.視覚実験による質感の評価と光反射モデルの構築:漆職人を被験者とし、各種漆膜に対する「深み感」「むっくり感」「あたたかみ感」の形容詞項目に注目し質感評価の尺度として用い、他の塗料などと比較しながら視覚実験により視感評価を行う。視感評価の結果に基づいて光反射モデルの感性モデルパラメータの組み込み方法を改善するため試作を行う。
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