研究課題/領域番号 |
23K11768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
長澤 多代 三重大学, 附属図書館 研究開発室, 准教授 (30346944)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 情報リテラシー教育 / 大学図書館 / 教職協働 / 情報共有 / 社会ネットワーク / フィンランド / アアルト大学 / ヴァーサ大学 |
研究開始時の研究の概要 |
大学教育において教員と図書館員が連携する仕組みを情報共有と社会ネットワークの観点から説明する。そのために,大学統合及びキャンパスの移転,大学図書館の全面的な組織改編,情報リテラシー教育の全学規模の再編成を実行したフィンランドのアアルト大学のケース・スタディをもとに,情報リテラシー教育プログラムの再編成の過程における教員と図書館員の連携について,教員及び図書館員への聞き取り調査,内部資料の調査等によって収集したデータを主題分析の手法を用いて分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,フィンランドの大学のケース・スタディをもとに,次に示す3つの研究課題を明らかにすることにより,大学教育において図書館員が実施する情報リテラシー教育のための教員と図書館員の連携について,その実態を情報共有と社会ネットワークの観点から明らかにすることである。①情報リテラシー教育のために教員と図書館員はどのような社会ネットワークを構築しているのか,②①の社会ネットワークにおいて教員と図書館員はどのような情報を共有しているのか,③図書館の組織再編が①の社会ネットワーク及び②の情報共有にどのような影響を与えたのか。教員と図書館員への聞き取り調査,内部資料の調査等によって収集したデータを主題分析の手法を用いて分析する。3つの研究課題を明らかにするために,アアルト大学のケース・スタディに加えて,ヴァーサ大学のケース・スタディを実施した。 アアルト大学は,大学統合,キャンパスの移転,大学図書館の全面的な組織改編,情報リテラシー教育の全学規模の再編成を実行している。2022年から情報リテラシー教育プログラムの全学的な再編成を予定していた。だが,計画が遅延していることから,初年次学生のための情報リテラシー教育の追跡調査として担当の図書館員1名に聞き取り調査を実施し,その成果を図書館情報学の国際学会において口頭発表した。 アアルト大学の現状をふまえて,大学図書館の組織再編の経緯をもつヴァーサ大学をケース・スタディに追加することとした。ヴァーサ大学の図書館員は,学生対象の情報リテラシー教育と並行して教員を対象とした多様な支援サービスを実施している。2023年度には,5名の図書館員に聞き取り調査を実施し,情報リテラシー教育及び教員対象の支援サービスの現状について基本的な情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アアルト大学のケース・スタディを実施する予定であったが,調査対象としていた情報リテラシー教育プログラムの全学的な再編成が遅延していたことから,当初の計画どおりに調査を実施できなかった。しかしながら,ヴァーサ大学をケース・スタディに加えて調査を実施し,基本的な情報を得ることができたために,「おおむね順調に進展している」と評価した。詳細については,以下のとおりである。 2023年度には,アアルト大学において2度の訪問調査を予定していた。だが,2022年に実施される予定であった情報リテラシー教育プログラムの再編成が遅れていたために,調査を実施できなかった。そのために,前回の調査(19K12713)のうち,初年次学生を対象とする情報リテラシー教育のための教員と図書館員の連携について,追跡調査として担当の図書館員1名にその後の状況も含めて聞き取り調査を実施し,その成果を図書館情報学の国際学会において口頭発表した(2023年10月)。 ヴァーサ大学は,フィンランド西部のヴァーサに位置する大学で,アアルト大学と同様に大学図書館の組織再編の経緯を持つ。ヴァーサ大学は,2001年から近隣の大学/応用科学大学との共同図書館(Tritonia)を新設して共同で運営してきた。2001年には3大学/応用科学大学,2010年には5大学/応用科学大学の共同図書館となった。その後,さらなる組織再編を経て,2021年からヴァーサ大学と2つの応用科学大学が共同図書館を運用することとなり,2022年に新しい図書館を完成させた。2023年度には,学生対象の情報リテラシー教育を担当する図書館員,教員への支援サービスを担当する図書館員,データマネジメントを担当する図書館員に聞き取り調査を行い,ヴァーサ大学の図書館が実施する情報リテラシー教育及び教員対象の支援サービスについて基本的な情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2023年度から2025年度までの3年間の計画にもとづいている。 初年度である2023年度には,アアルト大学で予定していた聞き取り調査の計画を変更しながらも,追跡調査を実施し,その成果を図書館情報学の国際学会で口頭発表した(2023年10月)。これに加えて,調査対象にヴァーサ大学を追加して,情報リテラシー教育を担当する図書館員に聞き取り調査を実施し,基本的な情報を得た。 2024年度には,ヴァーサ大学の追跡調査を実施して,収集したデータの一部を主題分析の手法を用いて分析し,図書館情報学の国際学会に投稿する。これと並行して,大学教育における教員と図書館員の連携に関する文献レビューを作成し,その結果を図書館情報学の国際学会に投稿する。 最終年度である2025年度には,必要に応じてヴァーサ大学の追跡調査を実施しながら,収集したデータのうち,未発表のデータを主題分析の手法を用いて分析し,図書館情報学の国際学会に投稿する。そして,ヴァーサ大学について,これまでに発表した複数の論文を統合して全体的な分析を行い,モノグラフを作成するための準備を行う。
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