研究課題/領域番号 |
23K11771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
山本 鉱 九州工業大学, 情報基盤センター, 准教授(専門職) (00608903)
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研究分担者 |
岡部 康成 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (10413569)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 正規化被引用数 / 注目度 / 研究力 / マネジメント / 経年変化 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の研究力は低下しており,その向上のための取り組みが大学に求められている.それに資する研究力マネジメントでは,客観的な学内研究者の研究力評価が不可欠となる.その評価では研究の注目度を測る指標として,論文が他の論文から何回引用されたかを示す被引用数が多用されている.しかし研究分野間で論文発表頻度や引用に関する慣習に系統的な差異があり,評価の自由度を低くしている.正規化,つまり同一の属性を持つ群内の平均値で除してその差異を無くすことが考えられるが,論文単位でしか実現されていない.研究者や大学全体を適切に評価するための被引用数の正規化手法を提案し,構築する大規模なデータベースを基にそれを検証する.
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研究実績の概要 |
論文情報に基づく組織の評価は,研究業績評価と研究力評価の2つに大別することができる.前者は評価対象となる組織名を基に名寄せした論文情報を,後者はその組織に評価時点で所属している研究者名で名寄せした論文情報を活用する.どちらの評価においても,一般的には一定の査読基準を満たした論文情報を収録し,組織名や個人名で名寄せしやすいように整理された,Web of ScienceやScopusといった有償の学術文献データベースが活用されている.ここで,研究業績評価においては正式な機関名や組織名さえ把握していれば良いが,研究力評価を行ううえでは現在在職中の研究者の情報が必要であり,自機関以外の組織を分析に含めることが難しい.在職者情報は各機関で公開されていることが多いが,統一されたフォーマットではないこと,論文に記載されている氏名が必ずしも公開されているわけではないことなどがその理由として挙げられる.そのため,研究力評価は研究業績評価ほど実施されていない.しかし長期的な視野で組織のポテンシャルを測り,改善に活かせるという点で,研究力評価に対する大学をはじめとする研究機関の執行部からの需要は高い. 本研究の目的は,研究者個人や組織の研究の注目度をより公平に評価するための,研究力評価指標の開発である.そのため,まずは前述したような困難を克服し,複数の研究機関を対象に在職中の研究者名で名寄せしたデータベースを構築する必要がある.そこで2023年度は,研究分担者の岡部先生とともに全世界の研究機関を対象に在職者情報を取得する方法を確立し,その情報の収集,およびそれに基づいて個人単位で名寄せしたScopus収録論文情報を収集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で活用することができる既存のデータベースは存在しないため,それに必要なデータをどのように集め,データベースを構築するかが課題となる.2023年度はこの課題を克服する手法を考案し,それに沿ってデータの取得を試みた.その結果,研究者情報については,全世界248機関に所属する18万人を超える情報を集めることができた.論文情報については,集めた研究者情報を基に取得したところ,重複を排除した直近10年間の論文数が300万報を超えた.そして,これらの取得したデータに適したデータベースの設計と構築も行った.これにより次年度以降の分析に向けた準備が整ったことから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
被引用数を正規化するにあたり,データをどのような単位でグループ分けすべきかを検討することが,次のステップである.全世界の研究者の論文情報を活用することができれば,論文に関する正規化被引用数,CNCIやFWCIを算出する際に行われているように,同じ研究分野,出版年,論文区分を持つ論文群に分けても,それぞれのグループで十分なサンプルサイズを得られるであろうが,本研究ではその限りではない.そのため,データの持つ特性をしっかりと把握し,グループ分けの単位を最小限に抑える必要がある.グループ分けの方針が定まったら,正規化の基準値を精度よく推定するために必要なサンプルサイズを検討する.さらに,後から基準値や正規化値の経年変化を追えるよう,2023年度に確立したデータ取得の手法に基づいて,研究者情報および論文情報を蓄積していく.
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