研究課題/領域番号 |
23K11773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
山永 尚美 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, アソシエイトフェロー (30907407)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アーカイブズ / 記録管理 / 映像資料 / 記録映画 / 行政映画 |
研究開始時の研究の概要 |
行政にまつわる活動、出来事、人物等を克明に記録した映像資料は、文字で書かれた資料とは異なる歴史的・証拠的価値を持つという点で、後世に残されるべき歴史資料であるといえる。しかし、日本において、このような映像資料は公的アーカイブズ機関(文書館)へと十分に移管されて来なかった。 公的アーカイブズ機関に代わってその保存を担ってきたのは、行政機関から制作委託を受けた民間の映像制作会社であった。本研究では、①かつて作成された行政活動にかかわる映像資料とその関連資料の所在調査を行い、②それらを長期的に管理・保存して行くための体制構築を支援することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、かつて作成された行政活動にかかわる映像資料とその関連資料の所在調査を行い、今後それらを長期的に管理・保存していくための体制構築を支援することを目的とする。研究開始初年度である本年度は、海外文書館における映像資料の記録管理(レコードマネジメント)の現状把握という観点から、特に米国のレコードスケジュールと特殊メディアの関係を中心に調査検討を進めた。同国文書館制度の形成期に記録管理ツールとしてのレコードスケジュールが整備されたことは既に知られているが、特殊メディアとりわけ本研究が対象とする映像資料に適用された過程については十分明らかではなかった。そのため文献調査をもとにその時期を特定し、同国のレコードスケジュールがその形成期から特殊メディアを含む形で進んでいた当時の状況の一端を明らかにした。調査の成果は「フィルム記録の管理手順の形成―1950年代の米国空軍省映画フィルム保管庫について―」(『学習院大学文学部研究年報』70号)として公表した。その上で、現在の米国における①特殊メディアとレコードスケジュールの関係、②特殊メディアにレコードスケジュールを付与するためのガイドという2点について、連邦規則集(Code of Federal Regulations, CFR)や各種手引きに定められた内容を中心に調査を行った。さらに、日本の文書管理制度の下では十分に保存されて来なかった映像資料とその関連資料について、行政からの委託を受けて映画制作を行った民間会社の関係者に向けて所在調査を行い、個人等の手元で私的に保管されている資料群の概要調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
米国文書管理制度における特殊メディアとレコードスケジュールの調査については計画通り進めることができた。文書管理制度の形成期より文書の中間保管庫(レコードセンター)の収蔵対象に特殊メディアが含まれていたこと、特殊メディアの管理において往時の政府アーキビストが果たした役割、また現在に至るまで連邦規則集や各種手引き等において特殊メディアの取扱手順が定められてきた経緯を知ることは、本研究課題を発展させる上での基礎になるものと考えている。さらに同国では、特殊メディアそれ自体の他に、プロダクションファイルや検索手段のような情報資源の移管を長期にわたって受入れてきた実績があり、これは今後予定している他国の制度との比較分析を進める上でも有効な検討材料となった。他方、日本の行政映画関連資料については、その所在については把握できたため、整理に向けての準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目の次年度は、広報映画の製作や上映に関与してきた行政機関ならびに民間の映画制作会社の活動に焦点をあてて研究を進め、実際の資料整理に還元する。具体的には、第一に、戦前から戦後にかけて日本で行政広報映画の委託制作を担ってきた映画制作会社の変遷ならびに製作作品について調査する。第二に、研究協力者の助力を得ながら、戦前に日本政府が行政事務に映画を用いた事例について分析する。また、米国の文書管理制度については調査を継続するほか、国立公文書館が映像資料の保存に積極的なカナダ、オーストラリアなどの国を対象に、特殊メディアの記録管理及び保存の在り方に関する制度調査を実施したく考えている。以上の調査成果は文章化等を通じて公表するよう準備を進める。
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