研究課題/領域番号 |
23K11774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
池谷 のぞみ 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10297723)
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研究分担者 |
松本 直樹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50588655)
須賀 千絵 実践女子大学, 文学部, 講師 (80310390)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 健康医療情報 / 課題解決支援 / 情報サービス / 知識社会学 / 蔵書構築 / 公共図書館 / エスノグラフィ / 図書館の自由 / エスノメソドロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、市民に対して健康医療分野の知識を流通させることに関与している公共図書館が、その役割を積極的に捉えて展開することを阻んできた倫理的課題のメカニズムの解明を学術的な文脈において取り組むと同時に、最終的には解決の糸口を見出すことをめざす。そのために、当該分野について固有の方針をもつ図書館も含む多様な館でのコレクションマネジメント(選書、配架、除架)の実践を各館での当該課題に対する解決方法として分析し、それぞれの論理とパターンを明らかにする。それにより公共図書館に内在的な解決の方向性を探ると共に、これを社会における科学知識の扱いをめぐる事例として分析的に提示することもめざす。
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研究実績の概要 |
本研究は、市民に対して健康医療分野の知識の社会的配分に関与している公共図書館が、その役割を積極的に捉えて展開することを長く阻んできた倫理的課題のメカニズムの解明に学術的な文脈において取り組み、最終的には解決の糸口を見出すことをめざす。その一環として、健康医療分野の情報提供について、それぞれの図書館がどのように取り組んできたのか、各図書館における方法について健康医療情報サービスを打ち出しているところもそうでないところも含めて明らかにする。そうすることで、実際には幅のある実践における規範を明らかにすることにより、健康医療情報の提供のあり方を、実践の論理と関係づけながら提示することをめざす。 令和5年度は、1)当初の計画に従い、健康医療分野に特化した選書方針を持つ2館(和歌山県立図書館、オーテピア高知図書館)並びに、当該2県内の複数の図書館の訪問調査を実施した。健康医療情報の提供のコレクション構築の方法、選書方針と方法、配架を含めた提供の工夫と課題について種々のデータを収集した。 2)この訪問調査とは同時並行で、和歌山県内の健康医療分野の蔵書データを取得し、その特徴の分析を行い、日本図書館情報学会研究大会で発表を行なった。さらに高知県内の蔵書データに加えて4府県の蔵書データの取得に着手したところである。 3)Webサイトにおける健康医療関係の選書について情報を共有し、コミュニティを醸成する目的で、Web協働選書グループとデータベースを継続的に運営した。Web協働選書グループは、全国の公共図書館を通じてがん情報を届ける国立がん研究センターのプロジェクトに協力した際に、「がんを身近に考える」というテーマで図書を選書し、ブックリストとポップを作成し提供した。この取り組みにかかわるアンケート調査を分析した結果について医学情報サービス研究大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)訪問調査については計画通り実施できた。さらに、蔵書データの分析に関する分析が進み、令和6年度に予定していた研究発表も前倒しで行うことができた。 2) 和歌山県内の図書館の蔵書データを取得し、県立図書館とそれ以外の図書館の蔵書の特徴を分析し、その結果を1年前倒しで日本図書館情報学会において発表することができた。さらに訪問調査先以外の3県内の所蔵データの取得を開始した。 3)健康医療関係の選書について情報を共有し、コミュニティを醸成するWeb協働選書を継続的に運営し、またこの取り組みについて医学情報サービス研究大会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)令和6年度(2年目)の計画に沿って訪問調査を実施するとともに、2)令和5年度(1年目)の訪問調査の際に提供を受けた所蔵データについて、分析の方法を検討しながら分析を行う。3)また、昨年度に発表した分析内容に加えて、新たに取得しつつある3県内の健康医療関係の所蔵データの分析を行う。その際、国内外の類似の研究を調査する。4)Web協働選書の運営の一環で、健康医療関係の選書に関するワークショップを開催し、選書の際に考慮すべき知識を共有するとともにコミュニティの構築に努めることを継続的に行うことを通じて、健康医療関係の情報提供のあり方について検討を続ける。
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