研究課題/領域番号 |
23K11784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
松岡 和生 長崎総合科学大学, 共通教育部門, 特任教授 (50209508)
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研究分担者 |
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
川原 正広 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (80850156)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ハイパーファンタジア / 直観像 / 視覚イメージ / fNIRS脳機能結合 / EEGマイクロステート / アイトラッカー / 脳機能イメージング / コヒーレンス |
研究開始時の研究の概要 |
眼前には存在しない事物や出来事の心的イメージを実体験に匹敵するほどの鮮明・明瞭さで再現,想起することができ,それをある程度意図的に操作しつつ生活の中に取り込みながら適応的に暮らして人々がいる。本研究では,こうした高度に優れたイマジネーション認知能力を有する人々(ハイパーファンタジア)に共通する脳内神経ネットワークの特性を,近年,意識の神経相関研究において適用範囲が広がっているEEGマイクロステーツとfNIRS脳機能結合を用いて検討する。それにより高度イマジネーション認知能力が創造的,適応的なポジティブ機能を可能にする認知―脳神経基盤の解明を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では,高度なイマジネーション認知能力を有する人々(Hyperphantasia)に共通する認知―脳神経基盤の解明を試みている。R5年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.ハイパーファンタジアに関わる認知特性の検討:イメージ能力,認知スタイル,夢見の特徴などを多側面的に検討するために実施された大規模web調査のデータについて再分析を行った。その結果,ハイパーファンタジア,直観像報告者,視覚色彩系共感覚者には,心像の喚起容易性,感覚強度の強さ,外部投射性およびマインドワンダリング傾向といった共通の特徴が認められた。 2.fNIRS安静時脳機能結合の測定:Hyperphantasiaとしての直観像素質者の脳内基盤の特異性を前頭部のRSFC解析で検討した。その結果,直観像素質者は統制群に比べ,前頭極および左右両側頭部の自発的脳活動が高く,左右背外側前頭前野の活動抑制が強いことが示唆された。また左右両半球間で強い結合を示すなどの特徴が認められた。 3.安静時脳波計測の研究:Hyperphantasiaの特性を持つ群の安静時脳波を計測し,脳波マイクロステート,安静時脳機能結合の特徴を検討した。その結果,Hyperphantasiaの特異性を示唆する安静時脳機能特性のパターンが認められた。 4.夢見時の脳活動特性と夢および悪夢制御に関わる基礎調査:実験室での中途覚醒法を用いてHyperphantasiaの夢見時の脳活動特性を脳波と眼球電位の測定から分析した。具体的には、脳部位間のコヒーレンスとREM活動指標を分析し、その結果を明晰夢との関連から検討した。また、夢および悪夢制御に関わる質問紙調査およぼ面接を実施した。これにより高度なイマジネーション認知能力が創造的で適応的なポジティブ機能を可能にするような人格的・認知的要因についての検討を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度途中に研究代表者の所属機関が変わり, 研究設備,実験装置を常時使うことが難しくなり, 実験研究の実施が一定の期間内に制限されるなど,研究を進める上での制約が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下のとおり。 1. 分担研究者の分担範囲を広げ, 前所属機関に設置の実験設備を使ったデータ収集を進める。また研究代表者が実験設備のある研究機関に出向いて研究する期間および実験データ収集にあたる時間を増やす。2.代表者の所属研究期間の変更により, 実験的研究の遂行が制約されるため, イマジネーション認知能力を関しての調査会社を利用した質問紙による大規模調査を実施する等,.実験研究から調査研究へ研究のウェイトをシフトする。3. 脳波を用いたハイパーファンタジアの脳機能特性については,これまで収集された脳波データを新しい分析手法を導入してさらに解析を進めていく。4. fNIRS脳機能結合の研究については,今後はDLPFC(背外側前頭前野)―IPL(下頭頂小葉)―V1(後頭葉初期視覚野)(左右両半球)の機能結合をターゲットに実験的な検討を進める。/5. これまで得られた研究成果を論文にまとめ,海外の有力専門雑誌に投稿発表する。
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