研究課題/領域番号 |
23K11817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
小土橋 陽平 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (60723179)
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研究分担者 |
齋藤 明広 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (50375614)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ハイドロゲル / 抗菌性 / ナノ / 医療用インプラント / 高分子 |
研究開始時の研究の概要 |
人工関節などの医療用インプラント手術で起こる細菌感染は,難治性となることが多く,感染対策として抗生物質の投与や埋入物の表面処理などが行われるが十分ではない.近年,セミの翅のナノ構造がグラム陰性菌に対し抗菌性を示すことが報告された,申請者は,生物はCOVID-19など未知の生物学的な脅威に対策をとりにくいことに着目し,現在存在しない海中で生息するセミを想定した親水的なナノ構造を開発した.開発したナノ柱ハイドロゲルはグラム陰性菌および陽性菌に対し抗菌性を発揮することを世界で初めて報告した.本研究ではナノ柱ハイドロゲルを用い,抗菌性医療用インプラント被覆材の創出を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナノ柱ハイドロゲルの物理的な細菌破壊を利用した医療用インプラント被覆材の創出である。ナノ柱ハイドロゲルのサイズや表面特性、硬さなどを変化させ、種々の細菌に対する活性を明らかにする。本年度は、ナノ柱ハイドロゲルの硬さなどによる抗菌効果の評価を計画している。 ナノ柱ハイドロゲルの構成成分として、ポリビニルアルコール(PVA)とポリメタクリル酸(poly(MAAc))を選択した。PVAとpoly(MAAc)はそれぞれのヒドロキシ基とカルボキシ基の熱架橋により化学結合を導入し、親水性でありながら水に溶解しないナノ柱を作製することができる。PVAとpoly(MAAc)の混合比を変えることで、水に不溶で、硬さの異なるナノ柱ハイドロゲルの調製に成功した。またアルミナ基盤のナノスケールの細孔サイズを変えることで、直径の異なるナノ柱ハイドロゲルを作製することにも成功した。ナノ柱ハイドロゲルの硬さについては、ナノ柱同士の接触可能な数により評価している。結果として、PVAの含有量が多いナノ柱ハイドロゲルがより柔軟であることが示唆された。 これらのナノ柱ハイドロゲルを、グラム陰性菌である大腸菌またはグラム陽性菌である枯草菌と接触させ、その抗菌効果について評価した。接触後の各ナノ柱ハイドロゲル上の細菌の形態を、走査型電子顕微鏡を用いて分析した。各細菌はナノ柱に捕捉され、細菌膜の形状変化にともなう抗菌性が示されることが示唆された。各細菌を捕捉するナノ柱ハイドロゲルの数などを測定し、ナノ柱ハイドロゲルの硬さ(柔らかさ)が与える抗菌効果への影響について解析を進めている。抗菌効果の詳細を考察する為、蛍光顕微鏡によるナノ柱ハイドロゲル上の細菌の観察も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ナノ柱ハイドロゲルの硬さなどによる抗菌効果の評価を計画していた。 計画通り、PVAとpoly(MAAc)の混合比を変えることで、硬さや直径、表面特性の異なるナノ柱ハイドロゲルを作製し、シリーズ化することに成功した。また、これらのナノ柱ハイドロゲル上での抗菌性評価についても2023年度の後半から2024年度の前半にかけて計画している。実際に、グラム陰性菌である大腸菌およびグラム陽性菌である枯草菌に対して、ナノ柱ハイドロゲルの抗菌性評価を行った。結果として、各ナノ柱ハイドロゲルは細菌を捕捉し、細菌膜の形状変化にともなう抗菌性が示されることが示唆された。これらの研究成果を5件の学会発表として報告した(内2件は招待講演)。従って、当初の計画通りに進展していると判断し、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、種々の菌種に対するナノ柱ハイドロゲルの抗菌効果の評価を行う。具体的な細菌として、大腸菌や枯草菌の他に、医療現場で問題となっている黄色ブドウ球菌や緑膿菌に対するナノ柱ハイドロゲルの抗菌性について評価する。 現在、ナノ柱ハイドロゲル上の大腸菌および枯草菌の生死判定について、蛍光顕微鏡を用いた手法の確立を進めている。課題として、乾燥状態での評価の際に、蛍光色素がナノ柱ハイドロゲルに吸着されやすく、バックグランドの蛍光が強くなり、正しく細菌の生死判定が行えない点が挙げられる。対応策として、今後、蛍光色素の濃度を制御することやあらかじめ染色した細菌を用いるなど工夫し、評価していきたい。研究成果をまとめ学術論文に投稿予定である。
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