研究課題/領域番号 |
23K11821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 昭人 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40507571)
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研究分担者 |
大矢根 綾子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356672)
宮治 裕史 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (50372256)
田中 佐織 北海道大学, 大学病院, 講師 (90344522)
金本 佑生実 北海道大学, 大学病院, 医員 (80972976)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | バイオミネラリゼーション / 半導体レーザー / コラーゲン / アパタイト / 歯周組織再生 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病再生治療において根面への結合組織性付着の再生は困難である。我々は近年,レーザー光を利用して擬似バイオミネラリゼーション(過飽和溶液中でのアパタイト析出反応)を迅速誘導するアパタイトコーティング技術「LABプロセス」を確立し,歯面の迅速改質・高機能化に成功した。本研究では,歯根面をゲニピン架橋コラーゲンで修飾し,LABプロセスにおける光反応を光吸収剤で制御することで単純な無機アパタイトではなく,天然のセメント質を模したコラーゲンとアパタイトの複合体(人工セメント質)を歯根面にその場で構築する技術を開発する。さらに動物実験により人工セメント質構築による結合組織性付着再生の効果実証を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は,歯基材へのコラーゲン層構築の検討およびコラーゲン層へのLABプロセスによる人工セメント質の構築を行った. 具体的にはゲニピンーコラーゲン象牙基材を作成し,改良塗布法でコラーゲン層にアパタイトが生成するかどうかの実験を行った. ①Makitaらの方法を参考に,ゲニピン-コラーゲンを作製 ②2mLの20wt%コラーゲン(ゼラチン from porcine skin,Sigma-Aldrich,G1890-100G)にゲニピン(富士フィルム和光純薬,078-03021)の最終濃度が20mMになるように添加し,60度に加熱,撹拌した. ③ゲル状になるまで室温で冷ました後,象牙質チップ(厚み1mm)に塗布した. ④ -80度で凍結させた後,凍結乾燥機で1日フリーズドライした. ⑤インドシアニングリーン(ジアグノグリーン)にピペットを用いて7wt%グリセリン溶液0.2mLを加え溶解させた. ⑥マイクロアプリケーターにて調整したインドシアニングリーンをチップに塗布し,0.5mm調整専用ジグで表面をならした. ⑦F1000CP液を調整し,Sレーザーを次の条件で照射した.ファイバーと試料の距離:3mm 溶液:F1000CP液10mL 照射パワー:3W 照射時間:30秒 ⑧Slaser照射試料のSEM,EDS測定を実施した. 結果と考察 照射後の象牙質チップの表面に残存ICG由来のS及びNaが検出され,Fは非検出であった.原因としては試料表面の曲率が大きく,ICG膜厚のコントロールは困難であったこと,もしくはコラーゲンに起因する可能性が考えられた.SEMにて表面に凹凸構造が観察された.今後はコラーゲン以外の天然高分子の利用を試みることと,コラーゲンの塗布方法の改良や照射条件の調整を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り令和5年度は,歯基材へのコラーゲン層構築の検討やコラーゲン層へのLABプロセスによる人工セメント質の構築を行い,有益なデータを集めることができた. 今後は計画通りin vitro機能評価を行いながら,結果を上記条件設定にフィードバックし,人工セメント質の設計見直し・最適化を行う.また動物実験も開始し,歯周組織再生効果を評価する.過飽和溶液の最適化調整も同時に進めていく. それらの結果を取りまとめた後は,学会発表ならびに論文投稿の予定である.
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今後の研究の推進方策 |
順調に実験は進んでおり,現在は動物実験の計画を策定中である.動物実験には指導大学院生にも研究協力(標本作製,計測・分析)してもらい,速やかに結果をまとめる方針である.結果は関連学会に発表,論文投稿で本研究の成果を公表予定である.
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