研究課題/領域番号 |
23K11827
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上口 光 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (30536925)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ウェアラブル機器 / 発汗計 / 集積回路設計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、医療用グレードのウェアラブル発汗計の実現に向けて、必要な集積回路設計技術と実装技術、及び、その実現方法について追求する。また、微小電気機械システム(MEMS)や流体力学といった技術も融合し課題の解決を目指す。また、発汗量のみでなく、含まれるガス成分を捕捉することで、新しい発汗計測の可能性を探索する。人差し指サイズの医療クレードウェアラブル発汗計で、発汗異常はもとより、認知症などの早期発見や病態評価に資する世界初の医療機器を実現することを本研究の目標として研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ストレスに関係し“手に汗握る”等と表現される精神性発汗を、高度に測定可能な医療用ウェアラブル発汗計を開発し、従来の発汗異常はもとより、認知症などの早期発見や病態評価に資する世界初の医療機器を目指している。携帯不可能な現行機と同等の性能を+/-5%以内の精度で計測可能なもので、携帯可能な人差し指サイズにまでの集積化を目指している。また、換気量を発汗量に応じて制御することで、これまで捕捉が困難であった精神性発汗の微小な発汗量変化を安定して観測可能にすることを目標に研究を行っている。 2023年度は換気カプセル型発汗量計回路の性能向上と小型化のため、回路検討を行った。マイクロブロワ駆動回路とその制御回路、及び制御手法を検討し、ウェアラブル化に必要不可欠な低消費電力化に向けての回路実現と実証実験を開始した。 換気流量制御と較正手法の開発として、例えば、発汗量の多いときにはセンサの結露を防ぐために多い流量で、少ないときには精度向上のために低流量で、といった発汗量に応じた流量制御をすることで低消費電力動作の実現を目指した。また、空気流路やカプセル形状を再検討することで、更なる小型軽量化と低電力化を実現する手がかりを得た。換気流量を変化させることでセンサ感度も変化するため、正確な発汗量を計測するために、流量に応じた較正手法の確立に向けた実験を開始した。実験の結果、センサのヒステリシス特性など新たに検討すべき開発項目も見つかったので、これらも考慮した新たな構成手法が必要なことがわかった。 現行の発汗量計の新たな付加価値創出に向けて、発汗量のみならず、汗の成分を検出するために、汗に含まれるイオンやガス成分を検出する手法の検討を開始した。センサの選定とアナログフロントエンド回路の検討を始め、プロトタイプを組み上げて、予備実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、換気カプセル型発汗量計回路プロトタイプとして、新たにカスタムチップを搭載したフレキシブル基板を作成して、実験を行った。実験結果をもとに、換気流量の制御手法と、換気流量変化に伴うセンサ感度変化に対して新たな構成手法の確立を目指した。実験結果から、センサのヒステリシスなど新たな課題も見つかったが、これについても較正手法の検討を始めた。 また、現在開発中のウェアラブル発汗量計に新たな機能として、汗に含まれる成分を検出する方法についても検討を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画通り、2024年度は開発した換気カプセル型発汗量計を医療グレードの観測精度に高めるため、実証実験を通じて回路システムの改良とセンサ較正手法を組み合わせて検出精度を向上させる。新たに見つかったヒステリシスなどの課題も、現行システムで較正手法をリファインすることで解決可能である見込みを得ているので、これを追加する。 発汗量計の新しい価値創出に向けて、汗の成分解析ができるかどうか、の検討も2023年度に引き続き検討を継続する。
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