研究課題/領域番号 |
23K11833
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長田 翔伍 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40751441)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バイオ人工肝臓 / 脱細胞化 / 肝オルガノイド / 細胞外マトリクス / 人工肝組織 / 脱細胞化骨格 / オルガノイド / 移植工学 |
研究開始時の研究の概要 |
肝組織の恒常性維持には、肝臓構成細胞と、それらを取り囲む肝臓特異的ECMとの機能的階層構造の形成が必須である。近年、肝臓細胞集団の自己組織化による肝臓オルガノイドが開発され、器官形成機構の解明が進められている。しかしながら、従来のオルガノイド技術では、ECM-細胞間相互作用形成が不十分であり、構造的・機能的に成熟した肝組織の作出には至っていない。本研究では、臓器特異的ECM骨格を抽出可能な脱細胞化技術とオルガノイド技術を融合することで、ECM-細胞間相互作用を有するヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイド培養法を開発し、ECMによるオルガノイド成熟化機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、細胞外マトリクス(ECM)-細胞間相互作用の形成が可能な脱細胞化肝臓ECM骨格と肝オルガノイドとの共培養システムを確立し、それによって自己組織化・成熟化へのECM骨格の寄与を明らかにすることを目的としている。2023年度は研究計画に基づき、脱細胞化肝臓の細胞外マトリクス(ECM)骨格の特性評価、肝オルガノイドを用いた再細胞化手法の検討、および再細胞化肝臓の特性評価に取り組んだ。成果として、灌流法により界面活性剤を用いて脱細胞化されたブタ肝臓を、再細胞化のために小型化する手法を確立した。具体的には、脱細胞ECM骨格を細断し、その断面に見られる血管腔構造にチューブを留置することで、灌流可能かつ小型の脱細胞ECM骨格を構築することができた。さらにこの小型脱細胞ECM骨格の組織解析から、肝小葉構造だけでなく血管構造などの管腔構造も維持されていることを明らかにした。免疫染色からも、これら微細なECM骨格構造では、繊維性コラーゲンおよび基底膜コラーゲンを保持していることを確認し、肝臓構成細胞の足場として機能しうることを確認している。さらにLC-MSを用いたプロテオーム解析からも、細胞機能発現や組織恒常性維持に重要なマトリソームが豊富に保持されていることを見出している。 再細胞化に関しても、ヒトiPS細胞由来肝オルガノイドおよび肝臓構成細胞を連続的に注入することで、効率的に細胞充填可能であることを明らかにした。それら細胞の特性解析およびバイオ人工肝臓としての機能解析も進めており、培養条件の至適化も実施中である。特に肝オルガノイドの直接穿刺と、血管構造からの分散肝臓構成細胞注入を組み合わせることで、効果的な再細胞化が可能であることを明らかにしている。今度、ECMとの関連に注目しながら、より詳細な細胞特性解析を進めている予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次計画に沿った研究遂行状況であり、ほぼ計画通りに進捗している。 具体的には、脱細胞化肝臓ECM骨格の特性評価に関しては、その脱細胞化条件やECM骨格の成形手法を確立することができ、組織学的解析に基づくECM構造の保持および主要タンパク質であるコラーゲンの保持性と局在性に関する知見を得ることができた。LC-MSによるプロテオーム解析も進んでおり、マトリソームに注目に特性評価を進めている。種々の生理活性因子の検出に成功しており、今後より詳細な解析を実施する予定である。 再細胞化肝組織の細胞特性評価に関しても、ヒトiPS細胞由来肝オルガノイドおよび肝臓構成細胞を用いた再細胞化手法を確立し、その細胞生物学的・生理学的特性の評価に着手している。灌流や培地組成など培養条件の確立も目処が立っており、今後の細胞特性解析の結果をフィードバックし至適条件の確立を行う予定である。特に肝オルガノイドおよびその構成細胞をそれぞれ直接穿刺、経脈管的に注入することで、高い肝機能発現と組織的複雑性を有する肝臓様組織を構築できることを明らかにできた。2024年度からは、ECM-細胞間相互作用に注目しながらより詳細な細胞特性解析を実施し、最終年度の機能的移植グラフトとしての応用可能性の実証に向けた準備を進められる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現状の進捗状況から、2024年度も計画に沿った研究方針で推進していく予定である。具体的には脱細胞化ECM骨格の成分解析と再細胞化肝臓の細胞特性解析を進め、その中でECM-細胞間相互作用の寄与およびそのメカニズムを探索していく。そのためのシングルセル解析や組織学的解析の準備も進めており、今後実施していく予定である。 また、最終年度の移植グラフトへの応用可能性の実証実験に向けて、再細胞化肝臓の成形手法や組織内の脈管構造の解析を進めていく予定である。当初の予定では、小型再細胞化組織を積層し移植グラフトに応用することを想定していたが、現状ですでに移植可能なサイズでの再細胞化肝臓の構築に成功しており、積層方法の検討は不要になると考えている。そのため、再細胞化から移植グラフトとしての適応まで、よりスムーズに実施できる可能性があり、今後検討していく予定である。
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