研究課題/領域番号 |
23K11835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
村松 和明 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90408641)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 免疫制御 / ヒアルロン酸 / インターロイキン-10 / GVHD / 細胞療法 |
研究開始時の研究の概要 |
臓器移植や同種細胞移植では、免疫抑制剤による移植片の拒絶抑制と感染予防の両立が課題となる。近年、ステロイド抵抗性の重篤な移植片対宿主病(GVHD)等に対し、同種の間葉系幹細胞(MSC)を用いた免疫制御も試されるが、効果が不十分で肝機能障害などの副作用が生じる場合もある。 申請者は、免疫制御を目的としたMSC療法において、高分子量ヒアルロン酸(HA)およびその誘導体がMSCの免疫調節活性を増強し、肝機能に対して保護作用を示す可能性を発見した。本研究では、MSCの免疫調節機能の活性化に及ぼすHA誘導体の作用機序を解明すると同時に、臨床応用に向けてHA誘導体を活用したMSC療法の最適化を研究する。
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研究実績の概要 |
本研究は、免疫調節作用を目的とした間葉系幹細胞(MSC)の移植における機能の亢進及び副作用の軽減を図るため、移植用MSCを生体外で培養する際、高分子量ヒアルロン酸(HA)誘導体を活用したプレコンディショニングを行うことにより、抗炎症性サイトカイン・インターロイキン(IL)-10の発現を亢進させたMSCを調製することである。そのため、プレコンディショニング後にトリプシン処理および凍結保存・解凍処理された細胞集団(浮遊状態)におけるIL-10遺伝子の発現性が、現行品の使用時間に相当する3時間以上持続することを検証した。また、四塩化炭素で肝障害を与えたラットに対して、MSCとHA誘導体を静脈へ同時投与した場合の影響も検証したところ、HA誘導体によって肝障害が改善された。従って、プレコンディショニングで用いるHA誘導体自体は肝臓に対する潜在的な副作用を軽減できる可能性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最初に、齧歯類(ラット)のMSCを用いた実験系において、HA誘導体によるプレコンディショニングを通して、免疫調節機能を高めるための細胞培養プロセスの最適化の検証を着実に進めることに重点を置いた。プレコンディショニングを施したMSCは、培養容器から回収された浮遊状態においても、IL-10の遺伝子発現が一定期間保たれることを確認し、移植に適することを確認した。 また、2年目に予定していたHA誘導体をMSCと同時投与した場合の肝機能に及ぼす影響評価を一部先行的に検証した。そのため、1年目の達成目標であるHA誘導体で活性化された細胞機能(IL-10産生量)の規格化、およびその活性化メカニズムの解明が遅れてしまった。特に、プレコンディショニングされたMSCから産生されるIL-10量について、ELISA法で未処理MSCと比較定量する予定であったが、いずれも2年目の継続検討課題となった。 その他全体的な進捗状況については、概ね想定した範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に完了できなかった項目(プレコンディショニングされたMSCが産生するIL-10タンパク質の定量や細胞内シグナル伝達の変化)を終了させるとともに、2年目以降に計画されたin vivo実験を進める。 in vivo評価では、マウスまたはラット実験系において同種(あるいは異種)間の脾臓細胞移植を行うことにより急性移植片対宿主病(GVHD)モデルを作製し、プレコンディショニングされた同種MSCを静脈投与することにより、各種臓器(特に肝臓・腎臓・消化管)の組織障害に対する改善効果を検証する。
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