研究課題/領域番号 |
23K11836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
永澤 悦伸 東邦大学, 薬学部, 准教授 (40513057)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | arterial stiffness / elasticity / Ca channel antagonist / Rho kinase inhibitor / artery / arteriole / vascular smooth muscle / vasodilator / 動脈弾性 / 一酸化窒素 / 血管平滑筋 / 降圧薬 / 心拍出量 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の以前の研究で、大動脈解離の治療で使用する血管拡張薬ニカルジピンが大動脈の血管弾性を秒~分単位で可逆的に低下させ、大動脈解離を発症しやすい状況に導く負の修飾因子となる可能性が示唆された。このような急性の血管弾性の機能的変化は、複数の降圧薬で観察されているが、血管平滑筋や心臓、自律神経に対する単一作用では説明できず機序は未だ不明である。 本研究課題は、大動脈の血管弾性を機能的に変化させる要因とその機序を、in vivoウサギ血管弾性評価モデルを用いて薬理学的・生理学的視点で解明し、治療等による瞬間的な血管壁の防御力低下を回避し、大動脈疾患治療を血管保護的に最適化することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年は、本研究課題の基盤となる種々の血管拡張薬が動脈弾性に与える影響について、in vivoウサギ動脈弾性評価モデルを用いて、組織学的に血管壁の組成が異なる大動脈領域と大腿動脈領域に分けて同時評価した。血管拡張薬として、血管収縮に関与するCaイオンの血管平滑筋への流入経路であるL型Caチャネルを阻害するL型Ca拮抗薬ニフェジピン、L型Caチャネルに加えて神経終末で神経伝達物資の放出に関与するN型Caチャネルも阻害するL/N型Ca拮抗薬シルニジピン、Caイオンとは独立して血管収縮に関与するRhoキナーゼを阻害するRhoキナーゼ阻害薬ファスジルとリパスジルを使用した。 その結果、L型およびL/N型Ca拮抗薬は、動脈拡張作用と共に大腿動脈領域の動脈弾性を上昇させるが、その程度は各薬剤の反射性交感神経活動に対する阻害作用の有無によって変化することが明らかとなった。一方で、大動脈領域ではL型およびL/N型Ca拮抗薬は共に動脈弾性を低下させ、その作用は交感神経活動とは独立していることが示唆された。L型およびL/N型Ca拮抗薬と同様に、Rhoキナーゼ阻害薬も大腿動脈領域の動脈弾性を上昇させ、大動脈領域の動脈弾性を低下させた。 以上から、大腿動脈領域の動脈弾性に対する各血管拡張薬の影響は、各々の血管平滑筋や自律神経系に対する薬理作用が反映されていると考えられた。一方、大動脈領域の動脈弾性に対する影響は、血管拡張薬の作用機序や交感神経活動の有無に依らず共通で動脈弾性を低下させたことから、大腿動脈とは異なる機構で動脈弾性が調節されていると考えられ、2024年度以降、詳細な機序の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivoウサギ血管弾性評価モデルを用いた実験により、大動脈の血管弾性を機能的に変化させる要因とその機序を考える上で基盤となる知見が得られ、2024年度以降の研究推進の方向性が明確化できたことから、本研究課題は、現時点で順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、in vivoウサギ血管弾性評価モデルで得られている多指標同時記録の膨大な時系列データを基に、複雑系と予測される血管弾性の調節要因について、数理・AI技術を適用し分析を行う。加えて、血行動態が血管平滑筋緊張に与える間接的な影響を検討するため、in vivoウサギ血管弾性評価モデルに電気化学的測定技術を適用し、大動脈局所での血管平滑筋調整因子の関与の検討を行う。
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