研究課題/領域番号 |
23K11851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀澤 健一 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70424207)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ダイレクトリプログラミング / 転写因子 / degron / 安定性制御配列 / NGS解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は再生医療の新たなツールとして期待されるダイレクトリプログラミングについて、その再現性と信頼性を向上させることを最終的な目標とする。 ダイレクトリプログラミングは通常、特定の転写因子セットを体細胞に強制発現することで人為的な分化誘導を引き起こす。しかし、転写因子の発現量や発現比といった定量的な情報については、これまでほとんど明らかになっておらず、技術的な再現性や信頼性に課題が残されていた。 そこで本研究では、転写因子の発現量を厳密に制御する系を導入し詳細な解析を行うことで、定量的な情報に基づいた高再現性・高信頼性を有する臨床医療に応用し得るダイレクトリプログラミング技術の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は再生医療の新たなツールとして期待されるダイレクトリプログラミングについて、その再現性と信頼性を向上させることを最終的な目標とする。 ダイレクトリプログラミングは通常、特定の転写因子セットを体細胞に強制発現することで人為的な分化誘導を引き起こす。しかし、転写因子の発現量や発現比といった定量的な情報については、これまでほとんど明らかになっておらず、技術的な再現性や信頼性に課題が残されていた。 そこで本研究では、転写因子の発現量を厳密に制御する系を導入して詳細な解析を行い、定量的な情報に基づいた高再現性・高信頼性を有する臨床医療に応用し得るダイレクトリプログラミング技術の実現を目指している。 初年度の研究では、タンパク質の安定性制御タグであるdTAGを導入したリプログラミング転写因子を作製し、それを用いた誘導肝細胞様細胞(iHepC)の誘導を行った。iHepCの誘導初期や、誘導後の細胞におけるリプログラミング転写因子の量的制御実験の結果、肝細胞としての形質獲得のために要求される転写因子の発現レベルや、肝細胞形質の維持にとって人為的に導入した転写因子の発現が維持されることが非常に重要であることなどがわかった。また、リプログラミング転写因子消失後の3次元ゲノム構造がどの様に変化し、それが細胞の形質変化にどう結びついているのかを明らかにするため、micro-Cによる3次元ゲノム解析も行なっており、今後はより詳細なデータ解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、タンパク質の安定性制御タグとして、F36V点変異を有するFKBP12由来のdegronタグ(dTAG)を融合したリプログラミング転写因子を作成し、その有用性の確認実験を行った。具体的には、誘導肝細胞様細胞(iHepC)を誘導する4つの転写因子(Foxa1、Foxa2、Foxa3、およびHnf4a)について、タグの融合部位などを網羅的に検討し、リプログラミング活性を維持しつつ分解誘導低分子化合物(dTAG-13)の添加によるタンパク質発現の量的制御を可能とするレトロウイルスベクターを土台としたコンストラクトを取得することに成功している。 実際にそれら因子を用いてiHepCを誘導し、転写因子の量的変化によるリプログラミング効率の変動や、肝細胞形質の維持についての検討を進めている。リプログラミング誘導時における検証では、ダイレクトリプログラミングを起こすために必要な転写因子の発現レベルを確認することができたほか、iHepC誘導後の実験ではiHepCの肝細胞形質の維持に外来のリプログラミング因子の発現が重要である可能性を示すことができた。 また、リプログラム細胞におけるゲノムの3次元構造の維持に転写因子Foxaが果たす役割を明らかにするため、micro-Cによる解析も行った。今後はより詳細なデータ解析が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
iHepC誘導初期における転写因子の発現量制御実験から、ダイレクトリプログラミングを誘発するために必要なリプログラミング転写因子の発現量の大まかなデータは得られている。今後は、導入する2つの転写因子の発現量比など、より詳細なデータを得ていく必要ある。 誘導後のリプログラム細胞(iHepC)を用いた実験では、誘導転写因子の発現が維持されることが、iHepCが肝細胞としての形質を維持するために必要であることを示唆するデータが得られている。しかし、FoxaとHnf4aでは発現を抑制した場合の表現系に大きな違いがあり、その違いを詳細に検討していく必要がある。 また、リプログラム細胞におけるゲノムの3次元構造の維持にリプログラミング転写因子が果たす役割を理解するために、micro-Cによる3次元ゲノムデータを取得しており、それら大規模なNGSデータをより詳細に解析していく予定である。
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