研究課題/領域番号 |
23K11867
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
杉野 貴明 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30830492)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 内視鏡下手術支援 / 画像解析 / 人工知能 / 病変検出 / 病理学的情報推定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,内視鏡下手術における術中画像所見と病理学的情報の関連性を解明し,病変の定量評価と適切な術式・切除範囲の決定を助ける術中方針決定支援システムの開発に取り組む.内視鏡下手術の適切な術式・切除範囲を決定するには,術前画像診断に加え,術中画像所見も加味して病変領域や悪性度を正確に評価することが重要となるが,内視鏡画像上での病変の検出・評価は医師の主観的な判断に依存している.そこで,本研究では,AI画像解析技術の活用により,術中内視鏡画像所見からの病変領域の検出,病理学的情報の定量的推定,推定結果の判断根拠の可視化を通じて定量的な判断材料を提示するシステムの実現を目指す.
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研究実績の概要 |
内視鏡下手術中の画像所見と病理学的情報の関連性をデータドリブンに解析し,病変の定量評価と適切な術式・切除範囲の決定を助ける術中方針決定支援の実現を目指す.触診のできない内視鏡下手術において,術式・切除範囲を適切に決定するためには,術前診断情報に加え,術中画像所見も加味しながら病変の領域や悪性度を正確に評価することが重要であるが,内視鏡画像所見を通じた病変の検出・評価は医師の経験に基づいた主観的な判断に頼らざるを得ないのが現状である.本研究では,胸腔鏡下肺癌手術を対象として,術中の病変評価とそれに基づく適切な手術方針の決定を助けるために,(1)病変領域検出AI,(2)病理学的情報推定AI,(3)判断支援マッピングAI,の3つのAI画像解析技術の開発に取り組み,術者に客観的かつ定量的な判断材料を提供するシステムの構築を図る. 本年度は,主に病変領域検出AIの開発に向けたデータベースの整備とモデル構築を実施した.具体的には,呼吸器外科医の協力の下,術前CT画像と術中内視鏡画像における胸膜変化を照合し,両者が合致した胸腔鏡下肺癌手術症例を対象として,術中胸腔鏡画像と病変領域を示すアノテーションデータを含むデータを収集・蓄積したデータベースを整えた.また,このデータベースを基に,胸腔鏡画像から病変領域を自動検出するAIモデルの開発に取り組んだ.術中胸腔鏡画像には病変に関係しない背景が多く含まれ,こうした画像背景は病変の状態推定・定量評価等のAI解析精度の低下を招く恐れがあるため,まず肺癌由来の胸膜変化を有する箇所に着目できるように,術中胸腔鏡画像から病変領域を検出するAI画像解析モデルを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画として定めた病変領域検出AIの研究項目に関して,データベースの整備とモデル構築を行った.術中胸腔鏡画像と病変領域を示すアノテーションデータからなるデータベースを整え,術中胸腔鏡画像からバウンディングボックスにより肺病変領域を検出して切り出す病変領域検出AIを構築した.異なるモデルのスケーリングによる複数のネットワーク構造から,求める性能に応じて適したネットワーク構造を選択可能にしたScaled-YOLOv4を使用し,術中胸腔鏡画像からの肺病変領域検出において適切なネットワーク構造と入力画像のスケーリングの組み合わせを調査した.最良のネットワーク構造と入力画像の組み合わせを用いたAIモデルを構築し,術中胸腔鏡画像から高い精度で肺病変領域を検出できることを確認した.したがって,予定していた病変領域検出AIを実装し,性能評価を通じて有用性を示すことができていることから,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,病変領域検出AIの改善と病理学的情報推定AIの開発を実施する.病変領域検出AIによって病変との関連性の低い背景を除外した病変領域画像を病理学的情報推定AIの入力として使用し,病変の病理学的な状態推定を行うAI画像解析技術の構築を目指す.病変領域検出AIの検出精度は,病変の状態推定・評価にも大きく影響すると考えられるため,引き続き,術中胸腔鏡画像とアノテーションデータからなるデータのさらなる収集・蓄積を行い,また,AIモデルの見直しにより,病変領域検出AIの検出性能の改善を図る.また,手術検体の術後病理検査により得られた病理学的情報のデータも収集・蓄積して病理学的情報推定AI用のデータベースも整備し,術中胸腔鏡画像から,術式選択や術後の予後不良等に影響する因子として知られる胸膜浸潤等の病理学的情報を推定する画像解析AIを開発する.
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