研究課題/領域番号 |
23K11879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
馬込 大貴 駒澤大学, 医療健康科学部, 准教授 (60725977)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | バーチャル臨床試験 / データ拡張 / 放射線治療 / 予後予測 / 機械学習 / Radiomics / 前立腺癌 / 中咽頭癌 / 仮想臨床試験 / 仮想データ / 外挿 / 個別化治療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、仮想データを用いたAIモデルに基づくバーチャル臨床治験システムを開発する。偏った少量のデータからでも学習データに含まれない症例の予後を高精度に予測ができる可能性がある、また、過去のデータが存在しない臨床試験に適応することが可能であり、バーチャル臨床試験システムとして実際の臨床試験を行う前に試験の成功率を予測できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、仮想データを用いたAIモデルに基づくバーチャル臨床試験システムを開発することである。該当年度は、過去の臨床データが限られている状況での統計母集団の偏りを補正するExMixupというデータ拡張手法を開発した。ExMixupは、データを線形に内挿および外挿し、仮想患者データを作成する手法である。学習データからランダムに抽出された2つの患者特徴量(年齢、腫瘍の状態、処方放射線量など)とラベル(放射線治療後の再発、局所障害など)をランダムな割合で線形に内挿および外挿することでAIモデル学習のための仮想データを生成する。ランダムに仮想データを生成しながら学習を繰り返すことで、AIモデルの汎化性能を向上させる。この手法により、従来の臨床試験から除外されていた患者の治療結果をより正確に予測できる可能性がある。前立腺癌患者100名と中咽頭癌患者385名のデータを使用し、放射線治療結果を予測するバーチャル臨床試験を実施した。ExMixupに基づき学習されたモデルは、原データのみを用いたベースラインモデルや従来手法のMixupモデルと比較して、予測性能が有意に高いことが確認された。本研究の結果は、過去の臨床試験から除外された患者に対しても、より効果的な治療法を提供するための重要な一歩となることを示唆している。ExMixupを用いたバーチャル臨床試験は、個別化された治療法の開発や、治療結果の予測性能向上に貢献する可能性がある。これまでの研究成果は英語論文として出版済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗は大きく分けて以下の2点である。これまでの研究成果は英語論文として出版済みである。 (1)ExMixupという新しいデータ拡張手法の開発を行なった。ExMixupは、放射線治療後の再発予測モデルの精度向上を目的としており、データを線形に内挿および外挿し、仮想患者データを作成する手法である。この技術は、過去の臨床試験の対象から除外されていた患者の治療結果をより正確に予測するために開発された。 (2)ExMixupの有効性を検証するために、前立腺癌患者100名と中咽頭癌患者385名のデータを用いたバーチャル臨床試験(VCT)が実施された。放射線治療結果を予測するモデルを構築し、その精度を検証した。具体的には、低リスクおよび中リスクの前立腺癌患者データを用いて高リスク患者の治療結果を予測するVCTや、ステージI~IIIの中咽頭癌患者データを用いてステージIV患者の治療結果を予測するVCTが行われた。結果として、ExMixupモデルは原データのみを用いたベースラインモデルや従来手法のMixupモデルと比較して、予測性能が有意に高いことが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
開発したExMixupの適用可能性をさらに評価するため、多様な癌種およびデータ種類における検証を進める。また、非線形のデータ拡張に基づき仮想データを生成することで、AIモデルの性能が向上できるかを明らかにする。例えば、放射線量と生存腫瘍細胞数の関係は線形ではなく、Linear-quadraticモデル等の非線形モデルに従うことが分かっている。非線形のデータ拡張に基づき仮想データを生成することで、AIモデルの性能向上を試みる。
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